店舗限定や早期予約 欧州名店も驚く最新Xマスケーキ
パティスリーごとに趣向を凝らしたケーキが店頭を飾るクリスマスシーズン。「今年はどこのケーキを買おうか」と頭を悩ませている人も多いだろう。最近、そんな悩みをさらに増やす動きが出てきた。同じパティスリーでも、出店するデパートごとにクリスマスケーキの種類を変えるケースが増え始めているのだ。
デザイン開発は日本主導
2017年、「パティスリー キハチ」では伊勢丹新宿店、東武百貨店池袋店でそれぞれ異なるデザインのクリスマスケーキを用意した。
伊勢丹新宿店では定番のショートケーキタイプのピンク色にし、いちご・ラズベリー・ブルーベリーを飾った「クリスマスショート ルージュピンク」(税込み4536円)を販売。一方、東武百貨店池袋店のみで販売された「クリスマススターリット」は、ドーム型のチョコレートで覆われたイチゴのショートケーキ(税込み5400円)。いずれのケーキも好評で、11月中にて予約完売。各店舗と共通の商品は購入可能だ。
フランス・パリに本店を構えるパティスリー「フレデリック・カッセル」。銀座三越の店頭では、定番のチョコレートムースのケーキ「ジヴァラ」にクリスマスのチョコレートプレートや雪の結晶をあしらった「アントルメ ジヴァラ」、「ピスターシュ・フレーズ」の2種を販売する。このほか、銀座三越のカタログ限定の「ミルフイユ フリュイ・ルージュ」も予約販売。
日本で出店しているのは銀座三越だけだが、店舗出店していないデパートでも予約専用のクリスマスケーキを販売している。伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、西武池袋本店、三越名古屋地区、小田急百貨店・遠鉄百貨店・水戸京成百貨店・横浜そごう限定でそれぞれ異なる6種類のデザインのクリスマスケーキを販売。10月1日の予約開始から数日で完売した商品もあるなど、限定商品は好評だという。
2017年2月に東京・表参道に出店したばかりの「ブボ・バルセロナ」。「世界一のチョコレートケーキ」とも称される人気チョコレートケーキ「シャビーナ」をアレンジした日本限定の「シャビーナ・ノエル・リング」を表参道の店舗用に用意したが、それ以外にも新宿伊勢丹、渋谷ヒカリエ、銀座三越、エキュート品川、日本橋三越、高島屋、表参道本店で、それぞれの限定商品を用意している。
デザインの違いの決め手はどこにあるのか?
ブボ・バルセロナを日本で展開するブボ・ジャパン(渋谷区)の広報の藤田美雪さんによると、同じ三越でも、銀座と日本橋では、日本橋のほうは定番で落ち着きがあるもの、銀座は華やかなものが求められるようだ。
「デザインは変わっても、クリームの構成などケーキの基本となる味は変えていません」というのは「フレデリック・カッセル」のオーナーパティシエ、フレデリック・カッセルさん。デパートごとのデザインの開発は、基本的には日本主導で、それをカッセルさんがチェックをするという流れになっているという。
デパートごとにバリエーションを用意するのは海外のパティスリーから想定外らしい。ブボ・バルセロナはデパートごとの限定商品の開発が必要になった旨をスペインの本部に連絡したが、なかなか理解が得られなかったという。
日本の予約開始の早さに驚き
こういったデパート限定ケーキが増えたせいもあってか、近年、クリスマスケーキの予約開始はどんどん早くなっている。最近では、多くのデパートが10月1日に予約を始めるようになった。首都圏に12店舗を展開する「パティスリー キハチ」のマーケティング担当の仲丸麻美子さんによると、店舗での予約が10月1日からになったのは2013年ごろ。伊勢丹新宿店が10月から予約を開始し、他の店舗もそれに準じて同日から予約するようになったという。
この予約開始時期の早さも、ヨーロッパのパティスリーには意外に映るようだ。「フランスでは予約日を作っていて、だいたい12月の5日前後に、店頭での試食を提供しながら受け付けています」と教えてくれたのは前出のカッセルさん。「フランス人はパーティーに集まる人数に合わせてケーキを用意します。人数が決まらないので、ケーキの予約をそんなに前にすることはできません」と笑う。
とはいえ、選択肢が多ければ、選ぶ楽しみ、味わう楽しみが増えるのも事実。これも日本ならではのクリスマスケーキの楽しみ方といえるかもしれない。
いずれのパティスリーもデパート限定のケーキは個数が限られており、クリスマスを待たずに予約で販売が終了してしまうケースが多い。今回紹介したケーキにもすでに予約完売のものもあった。各デパートごとに店舗やオンライン上で読めるオリジナルのカタログを用意しているので、そこで比較検討し、気になるものがあればすぐに予約の問い合わせをしたい。
(ライター 北本祐子)
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