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ご縁も美肌も引き寄せる 神々が集う出雲の旅へ

2017/12/1

神迎(かみむかえ)神事が行われる稲佐の浜の夕日。鳥居が立つ岩は弁天島という名前

 島根県にある出雲大社(いづもおおやしろ)は、「古事記」に登場する大国主大神を祭神とする、縁結びの神様として知られている。旧暦の10月には、縁結びの会議のために全国から神様をお迎えする。そんな神様の集うところの近くには、これまた平安時代から名泉とされる玉造温泉がある。縁結びに願いを込めて多くの人が集まる出雲と、美肌の湯の旅の魅力をご紹介する。

「平成の大遷宮」第2期事業が2019年3月まで続く出雲大社

■全国から神々を迎える神事

 10月の別称は一般には「神無月」だが、出雲地方では出雲大社に全国から神様が集まる旧暦10月を「神在月(かみありづき)」という。旧暦10月10日(2017年は11月27日)の夜には、日本全国からの神様をお迎えする「神迎神事」が行われ、11月28日(火)から12月4日(月)まで「神在祭」という祭事が続く。

 神迎神事は、出雲大社から西に約1キロメートルに位置する稲佐の浜で夜7時から執り行われる。御神火が浜を照らし、海を渡ってやって来られる八百万神(やおろずのかみ)を龍蛇神がお迎えする。そして、出雲大社までの御神幸の後に参拝者が続く行列となる。

 この稲佐の浜は、真っ赤な太陽が空を染める夕日の絶景スポットとしても知られる。「日が沈む聖地出雲」として、2017年度に日本遺産にも認定された。この浜から、たくさんの神様が出雲にいらっしゃるのかとしばし感慨にふけってしまうほど、美しい夕べの眺めだ。

■出雲大社の参拝で知っておきたい3つのこと

 出雲大社の参拝作法は、一般的に神社で行う「2礼2拍1礼=2回お辞儀、2回手を打ち、1回お辞儀」)ではなく「2礼4拍1礼」。手を打つ回数が多いのは、自分とご縁のある相手の分も、またより多く幸あれという意味合いだという。この参拝作法は、出雲大社にも貼り紙がされており、知っている人も多いかもしれない。

 次に、出雲大社の本殿の向きは南向きだが、祭神である大国主大神の神座は西向きである。この神座に対して正面となる端垣の西側に、その旨の立て看板が立っており、お賽銭(さいせん)箱も設置されている。本殿で参拝してから、この位置からも参拝するとよいとされている。

大国主大神に拝礼する場所は2カ所。神座正面には、小さく参拝場所が設けられている

 最後は、出雲大社の本殿の裏、森の中に立つ素鵞社(そがのやしろ)への参拝。この素鵞社は、大国主大神の祖先にあたる神様スサノオをまつる社である。この素鵞社に置かれている清めの砂を持ち帰って家にまけばよいといわれている。ただし、そのためには、前出の稲佐の浜の砂を取ってお供えし、その代わりにこちらの砂をいただく。清めの砂を持ち帰れなくても、深い森を背に神秘的な雰囲気に包まれた素鵞社はパワースポットといわれ、ぜひ参拝したい場所だ。

出雲大社の本殿の裏、緑深い八雲山を背後に立つ素鵞社

■貸し切り風呂など施設を共用できる2つの宿

 出雲大社から歩いて約8分のところに、5つの貸し切り風呂を共有するユニークな2棟の宿が2017年夏に同時オープンした。「いにしえの宿 大社の湯 佳雲」と「お宿 月夜のうさぎ」で、共に天然温泉の湯宿だが、前者はぜいたくで上質、後者はカジュアルにくつろぐ過ごし方ができそうな、趣きの異なる宿になっている。

「いにしえの宿 大社の湯 佳雲」の庭。「お宿 月夜のうさぎ」とは二階部分で接続

 この2つの宿はどちらに泊まっても大浴場、5つの貸し切り風呂を含む相互の施設が利用できる。貸し切り風呂は、カギをかけると入り口に「湯浴中」のランプが点灯するので、どこが空いているか分かる仕組み。ミストサウナと浴槽が合体した「霧の湯」や、ひのきの浴槽に炭酸泉の「泡の湯」、朱色の漆塗りの浴槽「漆の湯」など、どれも入ってみたいお風呂ばかり。

なんとも重厚感のある「漆の湯」。ぜいたくな気分でお湯につかれる

 エレベーター内を含む全館が足触りのよい畳敷きで、2つの宿を行き来しながら個性のあるお風呂と異なる宿の雰囲気を楽しめる。湯上がり処(どころ)では、時間によりアイスキャンデーや乳酸飲料が無料で置かれ、午後10 時から11時半までは夜鳴きそばのサービスまであるのが、何ともうれしい。

■独自コスメも開発した玉造温泉

 出雲縁結び空港から車で約30分(1日1便直行バスあり)の玉造温泉は、約1300年前の奈良時代に編さんされた『出雲国風土記』にも「美肌をかなえる神の湯」として記された温泉。環境省・観光庁が後援する温泉総選挙で、2016年はうる肌部門第1位、環境大臣賞に輝いた。

 玉湯川沿いに温泉宿が並ぶなか、夕食なし、朝食付きのみのユニークなゲストハウス「翠鳩の巣(あおばとのす)」が2017年にオープンした。大人数で泊まって、モダンなインテリアのラウンジで過ごしたり、外湯を回ったりと新しい温泉の楽しみ方ができそう。経営は、老舗旅館の「佳翠苑皆美(かすいえんみなみ)」。

「翠鳩の巣」のモダンでおしゃれなラウンジは、多目的なスペース

 玉造温泉も神話の世界が息づいている。玉湯川沿いには、古事記の神話を題材にしたモニュメントが並び、そぞろ歩くのが楽しい。「星野リゾート 界 出雲」では毎晩、宿泊者向けに神楽をもとにした「大蛇(オロチ)」を披露する。クシナダヒメをオロチから救うべくスサノオが活躍する神楽は大迫力だ。

古代のヒーロー、スサノオのヤマタノオロチ退治は、モニュメントにも「星野リゾート 界 出雲」の神楽にも登場

 玉造温泉では、コイにエサをやって恋(こい)を引き寄せる「恋来井戸」など恋愛成就のパワ―スポットが盛りだくさん。女子旅向けの情報が満載のフリーペーパーを観光協会が配布している。さらに、温泉の美肌成分の分析を製薬会社に依頼したことがきっかけになり、温泉水をコスメブランド「Coyori(こより)」や「メディプラス」に提供したり、「姫ラボ」というスキンケアブランドができたりもしている。神様の集う出雲の地は、縁も美肌も引き寄せてくれるパワーがありそうだ。

玉造温泉水を使って開発されたクレンジングジェルや化粧水など
玉湯川には足湯のスポットもあり、のんびり過ごせる
小野アムスデン道子
 世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。

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