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失われた「すてき」を求めて 首都圏の歴史建築3選

水津陽子のちょっとディープ旅

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NIKKEI STYLE

年々、時間が過ぎ去るのが早くなる……。年末が見えてくるこの時期になると、ひときわそう感じませんか。心があわただしくなっているなと思ったら、歳月を重ねた建物とアートを訪ねてみては。一歩足を踏み入れると、ゆっくり時間が流れているかのような別空間。もう今はつくられることのない数々のものの中から「すてき!」と直感できる存在を探しに、時をさかのぼる短い旅に出ませんか。首都圏から3カ所をご紹介します。

華麗な洋館と優美な和館 旧岩崎邸庭園

東京都台東区池之端、不忍池の近くにある「旧岩崎邸庭園」は1896年(明治29年)、三菱の創始者である岩崎弥太郎の長男、久弥氏が岩崎家の本邸としてつくったものです。戦後はGHQに接収され、返還後は国有財産となり、2001年より都立庭園として一般に公開されています。

かつては約1万5000坪の敷地に20もの建物がありましたが現在では敷地は3分の1ほどになり、現存する建物は3棟のみ。洋館と撞球室(ビリヤード室)は英国生まれの建築家ジョサイア・コンドルの設計。書院造りを基調とする和館を併置する建築は明治時代の富豪の邸宅にみられましたが、現存するものは極めて少数です。

洋館は、17世紀英国ジャコビアン様式の華麗な装飾があちこちに見られます。一歩足を踏み入れるとまず目を奪われるのが、玄関のステンドグラスや床のタイルの美しさ。その奥に連なるホールなどの建物の壁や天井、柱などには英国ルネサンス様式やイスラム風のモチーフなどが見られます。

1階のベランダには英国ミントン製のタイル、2階には貴重な金唐革紙の壁紙などぜいたくをきわめた装飾は、外国人や賓客を招いて華やかなパーティーが開かれた岩崎家の迎賓館の姿を残しています。

洋館1階にある婦人客室の天井は、日本刺しゅうを施したシルクの布張り。明るい陽光が差し込むサンルームの向こうに芝庭が広がる優美な空間です。2階の客室やベランダも、趣が異なる優雅な空間になっています。

洋館を巡った後は和館へ。大広間には、橋本雅邦が下絵を描いたと伝えられる障壁画や、現在では入手困難な木材が使われた箇所もあります。和館には休憩所があり、お茶席やお土産ものが用意されています。抹茶やアフォガード、ケーキセットなどでひと休み。

和館から庭園に出ると、庭石やモッコクの大木の先に芝庭が広がり、スイスの山小屋風の撞球室、庭園を眺めてくつろげる椅子やテーブルも置かれています。時には近くの保育園の子どもたちがやってきて遊ぶ姿も見られます。

アール・デコの粋と現代アート 東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)

東京都港区白金台に立つ「東京都庭園美術館」は、1933年(昭和8年)に建設されたアール・デコ様式の邸宅「旧朝香宮邸」の魅力を生かし、歴史的建造物と美術作品、庭園が一体となったミュージアムとして1983年に開館しました。

1947年に皇室を離脱されるまで朝香宮家の住まいだった邸宅は、内装設計にフランス人装飾美術家のアンリ・ラパン、建物のガラスレリーフやシャンデリアのデザインにルネ・ラリックを起用。世界的にも貴重なアール・デコ様式の建築として知られています。

1947年からは政府が借り受け、吉田茂外相・首相の公邸や、赤坂迎賓館の改装期間中には国賓・公賓を迎える迎賓館の役割も果たしました。その後、東京都の所有となり、2015年には国の重要文化財に指定されました。

2014年にはギャラリーやカフェ、ミュージアムショップを備えた「新館」をオープン。旧朝香宮邸(本館)の文化財的価値に加え、現代アートの展覧会やトークイベント、美術館コンサートなど、気軽に立ち寄れるアートミュージアムとしての魅力を高めています。

今年4月からバリアフリー工事のため全面休館となっていましたが、11月18日のリニューアルオープンでは庭園に面したカフェも一新。人気のフレンチレストラン「ロアラブッシュ」(東京都渋谷区)のスイーツや軽食が楽しめるようになりました。その時々の美術展とリンクしたオリジナルスイーツも登場予定。現在は、18年2月まで開催の「装飾は流転する」展にちなみ、アート感満載の「紫芋のモンブラン『装飾の流転』」がおすすめだそうです。

3つの様式が同居する至高の日本建築 遠山記念館

日本建築が好きな方におすすめなのが、埼玉県川島町にある「遠山記念館」。日興証券の創設者である遠山元一氏が事業で成功を収めた後、苦労をかけた母のために1936年(昭和11年)に生まれ故郷に建てた邸宅です。2000年に国の登録文化財となっています。

最大の特徴は、東から西に向かって順に、かやぶき屋根の豪農風、書院造り、数寄屋造りと3つの様式の建物が違和感なくつながっているという非常に珍しい設計。かやぶきの東棟は、没落して手放してしまったかつての生家をしのんだもの。書院造りの中棟は迎賓館としても使えるように、そして数寄屋建築の西棟は母・美以さんの居宅として設計されたものでした。

建築にとりかかった頃は、不景気の影響で各地の材木屋には在庫が充満し、人件費も低迷していました。そのため総工費(60万円)に比べて相当な高品質の材料と優れた職人を調達できたといいます。中でも大工と左官職人の技術は特筆もので、現在でも全国から職人の方々による見学が絶えないそうです。築80年を超えても狂いのない構造、時間の経過につれて変色することを計算に入れた壁、石と見間違うほど滑らかに磨かれた内玄関のたたきなど、現代の職人が「どうやってつくったのか分からない」と首をひねる技が至るところに投入されています。

遠山邸が完成した翌年には日中戦争が開戦。ほどなく第2次世界大戦と、国全体が戦争に向けて突き進みました。建築にかかわった職人の多くが戦争で命を落としたことによって、いくつもの技術が伝承されないまま途絶えてしまったのです。

建物ごとに変化する雰囲気を堪能しつつ、意匠の細部に隠された匠(たくみ)の技や、現在は入手不可能な貴重な素材を探し出してみるのも楽しいでしょう。

別棟に、遠山元一氏が収集した美術工芸品などのコレクションを収蔵する美術館があります(2018年3月まで改修のため休館中)。

水津陽子
 合同会社フォーティR&C代表。経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究などを行う。

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