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住宅地価に2022年問題 「生産緑地」が下落要因に 「農業縛り」解け大量供給か

2017/12/2

東京都三鷹市は生産緑地が市街化区域の8.7%を占める

マイホームの購入や売却を考える人にとって気になるのが地価の動向だろう。都市部ではここ数年、住宅地の地価が下げ止まっているが、専門家の間では将来の下落要因の一つとして「2022年問題」がささやかれる。生産緑地とよばれる指定農地の一部が、戸建てやアパート向けの住宅用地に姿を変え、不動産市場に供給される見通しだからだ。その影響を考えてみよう。

「生産緑地の1~2割が宅地に変わるだけでも相当なインパクトがあるのでは」。不動産コンサルティング会社、さくら事務所(東京・渋谷)の長嶋修会長は22年問題が、人口減少による地価下落シナリオに拍車をかけるとみる。

「いずれは農業をやめて宅地にするしかないと考える地主が増えるだろう」。三菱UFJ信託銀行の山崎暢之・不動産コンサルティング部専門部長も影響を予想する一人。同行が開く生産緑地についてのセミナーには80代くらいの高齢の地主が多く参加するという。

にわかに不動産関係者の口にのぼるようになった生産緑地とは何か。発端は不動産バブル期にさかのぼる(図A)。

地価高騰に対して政府は、宅地の供給を増やす目的で都市部にある農地への課税を強化。1992年、固定資産税などを宅地並みに厳しくした。それ以前の数十倍以上という課税により地主が土地を手放すよう促した。のちに多くが宅地に変わった(図B)。

その一方で政府は、農業を続けたいという地主にも配慮。原則、生きている限りは30年間、農地のままとすることを条件に、宅地並み課税を回避できるようにした。当時、その条件を地主がのんで、指定を受けた土地を生産緑地という。

いま残っている全国1万3000ヘクタールほどの生産緑地のうち約8割は92年に指定された。30年たって農業の縛りがなくなる2022年以降、地主が手続きを踏めば、指定を解除できるようになる。

■動き全体の2割か

まとまった土地が売りに出され、建売住宅や賃貸アパートが建てられたりすることで住宅市場の供給が過剰となり、周辺の地価や家賃相場が下がる――。これが関係者が予想する22年問題のメカニズムだ。

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