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無意識の偏見=アンコンシャスバイアス 女性活躍阻む

企業に対策研修「自覚、慎重な判断生む」

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NIKKEI STYLE

アンコンシャス・バイアス。女性活躍の先進企業で聞き慣れない外来語が関心を集めている。邦訳すると「無意識の偏見」。差別する意図はないのに、生来身に付いた価値観が上司や女性自身の判断をゆがめ、活躍を阻む言動に走ってしまうことだ。無意識ゆえに問題は根深く、対策研修が広がりつつある。

 ◇   ◇   ◇

きつい仕事はかわいそう?

「思い込みや先入観なんて持ってないと思っていた」。ジョンソン・エンド・ジョンソン(東京・千代田)の営業部門に勤務する男性管理職(51)は話す。10月中旬に同社の日本法人グループが主催したアンコンシャス・バイアス研修に参加した。参加者同士で語り合っているうちに思い当たることがあった。

6人の女性部下を持つ。子育て中の女性には無理をさせないように心掛けてきた。「仕事を軽くしてあげた女性社員が不服そうにしていたことがある。そのときは理解できなかったが、今は分かる。『子育て中は大変』という思い込みで、何も考えず負担を減らした。でも彼女自身はもっと仕事をしたかったのだと研修を受けて気付いた」

同研修を2014年度に始めたきっかけは13年の社員意識調査だ。男性は74%が「管理職になりたい」と答えたのに、女性は35%止まり。この差はなぜ生まれるのか。詳しく分析した結果、アンコンシャス・バイアスが浮かび上がった。

「重要な仕事は女性に任せられない」といった意識的な性差別はないが、「きつい仕事を任せるのは気の毒だ」といった潜在意識が女性の成長機会を奪い、意欲をそいでいた。「女性活躍を加速するためにも無意識の問題に手を入れようと考えた」と研修の講師を務める同社の村田洋子さんは説明する。

「アンコンシャス・バイアスに欧米企業が着目したのは10年度以降。比較的新しい経営課題だ」とコンサルタントのパク・スックチャさんは話す。在日米国商工会議所が10月に主催した「東京ウィメン・イン・ビジネス・サミット」でアンコンシャス・バイアスを紹介するワークショップを担当した。

無意識が男女の格差拡大にどう影響するのか。職場で誰かに雑用を頼んだ場合で考えてみる。男性に「今は忙しい」と断られても「仕方ない」と思えるのに、同じように断った女性には「薄情」「冷たい」と感じてしまいがちだ。それは「女性はやさしい」「人の世話を好む」といった先入観の影響だという。

先入観があると、頼む側は「女性は助けてくれるもの」と期待する。その期待が裏切られたことによる反動で、女性に対する評価が厳しくなる。

米国ではオーケストラのオーディションで性別が分からないように、ついたてを隔てて演奏してもらった結果、女性演奏者の採用比率が上がった事例が報告されている。無意識で男性には技術があるという思い込みをなくした結果だ。パクさんは「人は客観的に良しあしを判断しているようで、先入観の影響から逃れられない」と強調する。

休みを取るのはワーママ?

東京海上日動火災と東京海上ホールディングスは11月中旬にアンコンシャス・バイアス研修を初めて開いた。女性や外国人を含む社員5人が登壇し、上司や自分の先入観により、嫌な思いをしたりハッとさせられたりした実体験を披露した。

東京海上日動火災は13年度に経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれるなど女性活躍に積極的。課長以上の女性管理職は07年の43人から17年の218人へと10年で5倍になった。「優秀な女性は多い。アンコンシャス・バイアスを理解すれば、もっと女性管理職は増やせる」(ダイバーシティ推進チームリーダーの小瀬村幸子さん)

マニュライフ生命も17年度からアンコンシャス・バイアス研修を開いている。年度内に全社員が受講する。研修では自らの先入観や思い込みに気付くことに時間を割く。

「誰が最も頻繁に休暇を取りそうか」。ワーキングマザーや初老男性ら4人の写真を見せ、その中から研修参加者は1人を選ぶ。多くはワーキングマザーを選ぶ。子どもが急に熱を出したり、学校の行事に参加したりするだろうと想像するからだ。

その人を選んだ理由を参加者同士で話していると、自分の選択に社会通念や過去の体験が影響していると気付く。執行役員の前田広子さんは「自覚が対策の第一歩。自分にもアンコンシャス・バイアスがあると分かれば、その後は慎重に判断するようになる」と指摘する。

 ◇   ◇   ◇

心の奥底に先入観発見 ~取材を終えて~

アンコンシャス・バイアスの研修を初めて見学したのは2年前だ。自分にも先入観があるのかと1年くらい考えて、あるときひらめいた。初対面の相手をオフィスに訪問するときの場面だ。その人の顔も座席場所も分からず、誰かに尋ねる必要があった。私は迷わず女性に声を掛けた。しかも、すぐ目の前に男性がいたのに、彼をわざわざ避けた。過去の似たような場面を思い出してみると、ほぼ女性に尋ねていた。

そもそも受付業務は女性が担当しているケースが圧倒的に多い。そんな経験が頭に染み込んでいるうえ、「女性はやさしく接してくれる」「男性は重要な仕事をしている」といった先入観が影響していたのだろうと思い至った。女性差別の事例を長年取材してきながら、無意識の偏見を心の奥底に見つけ、自らの過信を恥じた。

(編集委員 石塚由紀夫)

[日本経済新聞朝刊2017年11月27日付]

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