検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

好物の揚げ物断ち プロ生活24年 川口能活さん

食の履歴書

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ワールドカップ(W杯)初出場の1998年フランス大会でもゴールマウスを守り、日本サッカーをけん引してきた。揚げ物断ちにみられるストイックな食事はプロ意識の高さ故。42歳の今も幼少期の大好物は封印、ピッチに立ち続ける。

故郷の静岡県は全国有数のサッカーどころ。と同時に、マグロやカツオ漁獲量全国1位の水産県。自宅の食卓に並ぶ母の手料理は、魚料理が多かった。「煮物を中心にバランス良く。おかげで健康に育つことができたし、太りにくい体質にもなったかもしれない」

幼少期は極度の野菜嫌い。大好きなカレーでも、野菜の具は残し続けた。「試しに食べてごらん」。小学校入学を控えたある日、それまで何も言わなかった母の言葉で口にした。カレーの味が染み込んでいて「意外とおいしかった」。以降、サラダも苦にならなくなった。

小学3年でサッカーを始めたが、その頃から揚げ物や肉類を好むように。特に鶏の手羽空揚げ。試合に持参する弁当にも母が必ず入れてくれた。昨今は小学生チームでも栄養指導があるが「当時は食べたい物を食べる感じ」。タンパク質を積極的に食べていたおかげか、長身だが細身だったのが「1学年上のチームでプレーしても対等に渡り合える体格に成長した」。

月1回のカツ丼、幸せのひととき

中学で県の選抜チームに入るなど実績を重ね、名門の清水市立商業高校(当時)に進学、下宿を始める。下宿生は「赤弁」と呼ばれる仕出し弁当が毎日の昼食。「食べ盛りに加え猛練習。毎日ほぼ同じメニューには飽きたが、それ以上に量が足りなかった」。4時間目の授業が終わるとパン売り場に駆け出した。監督が月1回、カツ丼をごちそうしてくれる時が「幸せのひととき」だった。

高校3年時に全国制覇を果たし、94年にプロ入り。2年目には元代表の先輩からレギュラーを奪う。高校時代は親元を離れていたため、中学までに比べて栄養が偏っていた状態でのプロ入りとなった。「体脂肪が少し多いな。油を抜こうかな」と漠然と考えてはいたが、チームのトレーナーから栄養学の基礎を学び、食への意識が高まった。

プロ入りで覚悟、戦うための食制限

タンパク質、脂質、炭水化物の分類。摂取量やタイミング。実践すると筋肉もつき始め、プレーの変化に手応えもあった。「プロになるからには何らかの覚悟が必要だと思っていた。食事面の自己管理は、アマチュアからプロになるためのスイッチになった」

W杯初出場などでサッカー人気が高まる中、日本代表クラスともなると、選手のキャラクターまでが注目された。そんな時代を駆け抜けてきた。川口の場合、ストイックさを強調する話が広まった。例えば焼き鳥や天ぷらは皮や衣をとる。「皮は脂肪分も多いと聞いたので、確かに外してました。天ぷらの話はどうだったかなあ。そもそも天ぷらは注文しませんよ」と苦笑する。

日本サッカーが世界で戦う舞台には必ず川口の姿があった。王者ブラジルを破った96年のアトランタ五輪、4大会連続でメンバー入りしたW杯、2連覇の立役者となったアジアカップ。数々の海外遠征での最大の楽しみは、日本料理店での食事会。雅楽が流れる中、すき焼きの鍋を囲む。「料理だけでなく、雰囲気も含めて、自分が和んでいるのが分かる。日本人を実感する瞬間ですね」

8月に42回目の誕生日を迎え、プロ24年生となった。所属するサッカーJリーグ3部(J3)のSC相模原では、レギュラーとしてゴールマウスを守っている。プレー面でも精神面でもチームを支える姿は健在だが「40歳少し前から、食に対する姿勢は少し緩くなりましたよ」と打ち明ける。

妻の野菜カレーが今は一番好き

子供を持ち、ファストフードやファミリーレストランにも足を運ぶようになった。チームの食事で、皆で同じメニューを頼む流れになれば、食事制限の枠を外すこともある。でも「鶏や魚を中心に、焼くか蒸すかという基本は変わらないですけど」。実際、自宅には揚げ物を作るための調理器具もない。幼少期の大好物、鶏の空揚げが食卓に並ぶこともない。今は妻の作る野菜カレーが一番の好物だ。

家族、特に妻に対し、アスリートの食生活に付き合わせているとか、我慢させているとの思いもあるのだろうか。「僕と同じ食生活を送ることで、妻も結婚前より体調が良くなったそうなんですよ」と、この日一番の無邪気そうな笑顔を見せた。

体重減補う特別定食

9年間在籍したジュビロ磐田時代、頻繁に通ったのが静岡県磐田市の「味処 道」(電話0538・35・1811)。本拠地のヤマハスタジアムから徒歩数分の立地。単身赴任していたときは朝食にも通った。練習後は毎回お決まりの「特別メニュー」。練習で毎回体重が2キロ減ると聞いた店主の鈴木勝さん(45)が「がっつり食べたい」という川口選手の要望に応えた。

メーンは鶏のモモ肉とサバの塩焼きの2本立て。川口選手が「絶品」と評価するだし巻き玉子に加え、乳酸菌や鉄分、繊維質を採れるよう、キムチやヒジキなどの小鉢を添えた。「確かに鶏肉の皮は毎回残してましたね」(鈴木さん)。日替わりの「道定食」(1180円)や「だし巻き玉子定食」(880円)で、川口選手の食卓の雰囲気が味わえる。

最後の晩餐

エビフライ、食べたいです。普通のではなく、おいしいエビフライ。小学校の国語の授業で読んだ「エビフライ定食、すごくおいしくて」という文章がずっと頭の中に残っていて。揚げ物は制限しているので、引退したら、極上のエビフライを探してみます。

(嘉悦健太)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_