「死海文書」に偽造の疑い? 話題の聖書博物館でも

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/12/2
ナショナルジオグラフィック日本版

2017年11月14日、ワシントンDCに誕生した聖書の歴史、物語、影響に特化した博物館、「聖書博物館」のメディア向け内覧会で「聖書の歴史」という展示を見る来館者。(PHOTOGRAPH BY SAUL LOEB, AFP, GETTY IMAGES)

米ワシントンDCの「聖書博物館」の一般公開が2017年11月17日から始まった。5億ドルをかけて建設された、「世界で最も知られている書物」の記念館だ。なかでも聖書の恒久性を物語る特別な遺物が、最古の写本群とされる「死海文書」である。だからこそ、同博物館の創設者はそのうちの13点を収集するために数百万ドルを費やしたと噂されるのだろう。

ところが、調査によると、来館者が目にする断片のいくつかは現代の偽造品かもしれないという。

聖書博物館は非常に注目されている。創設者は手芸用品チェーン店ホビー・ロビーの経営者であるスティーブ・グリーン氏。同氏は、古代の遺物の購入・収集について、世間の厳しい監視の目にさらされてきた。たとえば、米国当局が密輸品だと主張する5500片の古い粘土板。ホビー・ロビー社は7月に司法省と和解し、この粘土板をイラクに返還している。(参考記事:「文化財の不正取引防止へ、米国とエジプトが協定」

学者の中には、同博物館の強引な収集の仕方を冷ややかな目で見る人もいる。しかし、グリーン氏と博物館の職員によると、たしかに収集を始めた初期には十分な助言を得られていなかったが、聖書博物館は学問的にベストなやり方に従っていると強調する。

現在は、著名な聖書学者のデイビッド・トロビッシュ氏が収集ディレクターを務めており、聖書博物館は死海文書研究の支援も行っている。

「巨大な博物館の中に疑わしい物がまったくないだろうと考えるのは、水の中にアメーバがいないと信じるようなものです」と言うのは、米ニューヨーク大学の聖書学者ローレンス・シフマン氏。同氏は、博物館での死海文書の展示について助言を行った。「聖書博物館は、すべきことはすべて行いました」

「2002年以降の断片」はほぼ偽造品?

70年ほど前、ヨルダン西部クムランの洞窟でベドウィンの羊飼いが見つけた死海文書は、数多くのヘブライ語聖書(旧約聖書)の文書の断片から成る。1800年前のものから2000年以上前のものまであり、これまでに発見されたなかで最古の聖書写本も含まれる。

ベドウィンからこの文書の多くを買い取ったのが、地元の商人「カンドー」ことハリル・イスカンダル・シャヒーン。1947年から1953年にかけて、買い集めた死海文書を収集家や学術機関に転売した。しかし、1970年にユネスコの文化財不法輸出入等禁止条約が採択され、不当な発掘や新たに発見された文書の売却は違法となった。

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