2017/12/5

佳奈 一方で支出だけれど、55歳から64歳までの10年は「アクティブなリタイア生活」とのことなので、50歳時点の支出の9割くらいとして、年間500万円前後に設定。それ以降は支出のペースが徐々に落ちていくとして、65~70歳は年360万~410万円、それ以降は330万~350万円程度と設定したわ。

沙織 えーっと、月額に直すと、55~64歳が40万~43万円ほど、65~70歳が31万~34万円、それ以降は27万~30万円くらいってとこね。64歳まではともかく、老後の支出ってこんなもんなのかな?

佳奈 総務省の「家計調査」(2016年)によれば、夫婦2人のリタイア後の支出(無職の場合)は平均で月額27万円程度ね。一方で、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2016年)によれば、「ゆとりある老後生活費」は月額34万9000円となっているわ。ただ、後者の数字は全国の18~69歳の男女4056人に対して、ゆとりある老後に必要と思われる金額をヒアリングした数字なの。つまり、みんなが「このくらいは必要だろう」と思っている金額が月額35万円くらいってことね。

直也 なるほど。とはいえ、リタイア後の支出が平均で月27万円なら、「ゆとりある生活」は30万円を超えそうですね。インフレも考えれば、35万円前後ってのは妥当なところかもしれない。

佳奈 という前提で直也さん・沙織さんのリタイア生活をシミュレートすると、こんな感じになるわ。

図2 直也さんが55歳で早期リタイアした場合の生涯収支。沙織さんも同時にリタイアするとした。リスク資産は54歳まで100万円を積み立て投資し、3%で運用したと仮定。なお、70歳で自宅マンションをリフォーム(500万円)するとした
図3 55歳で早期リタイアした場合の金融資産の推移。退職時点で5800万円の金融資産を保有するものの、70歳で資産が赤字に転じる

直也 うーん、70歳で見事に資産がマイナスに転じるんですね。5800万円近くあっても15年で使い切っちゃうのか。人生って何てはかないんだ……。

早期リタイアに支払う金額は3843万円

沙織 ちょっと直也、現実逃避してないでちゃんと話を聞こうよ。ねえ佳奈ちゃん、定年まで勤め上げた場合はどうなるのかな? やっぱり厳しいのかな?

佳奈 いえ、60歳まで働けば余裕しゃくしゃくよ。こちらが定年まで働いた場合のシミュレーション。はい、どうぞ。

図4 定年(60歳)まで働いた場合の金融資産の推移。定年退職時点で金融資産は7281万円、90歳時点で2625万円が残る

直也 おおっ、退職時の資産が7281万円! 一気に1513万円も増えてる。しかも、90歳時点で2625万円も残ってるぞ! 人生って何て素晴らしいんだ!

佳奈 定年まで働けば当然、その間の収入が得られるし、直也さんの会社だと退職金は2211万円に増えるわ。これだけで3090万円の増収効果があるわね。さらに公的年金も働いた分増えるので、65歳以降に受け取れる金額は手取りで月1万2424~1万2960円アップするの。しかも、会社にいる間は、会社が社会保険料を一部負担してくれるので、メリットが大きいのよ。

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57歳なら早期リタイアも現実的に