2017/11/30

マネートレンド

実際、借り入れに頼った不動産投資では利回りを上げにくくなってきた。資材価格に加え、戸建てやマンションの工事は人手が足りず、人件費も上昇。都市部を中心に不動産の物件価格が上がったため、投資利回りは低下している。14年7~9月期は平均10%程度とされていたアパート投資の利回りは、今年に入り9%を割り込んだ。

注意点(1)実質利回りで計算しよう

不動産投資で注意しなければならないのは表面上の利回りと、経費などを差し引いた実質利回りに差がある点だ。Aさんの場合、年間の想定家賃収入を物件価格で割った表面上の利回りは16%。実際は物件を買うときに登記など経費がかかる。借り手が代われば修繕が必要で、固定資産税も納めなければならない。家賃収入から経費を差し引くと実質利回りは13%に低下する。物件管理を管理会社に任せる場合は手数料が要る。満室を保てなければ家賃収入は下がり、利回りは悪化する。

経費節減のため、自前で奮闘しているのは神奈川県の会社員Cさん(41)だ。東京都葛飾区の競売物件を買い取り、リフォームして貸し出している。洗濯機といった家具も含めて計1850万円を投資。外国人も入居できるシェアハウスとして今年3月にオープンした。全5戸が満室の場合、毎月計21万円の家賃収入がある計算だ。

Cさんは所有物件の価値を高めようとインテリアも工夫(東京都葛飾区)

管理会社を介さず、トラブルがあったときは自ら対応する。ただ自宅から電車で1時間半ほどかかる場所に常時通えるわけではない。ゴミ出しや共用部分で起きる対応は、入居者の1人に家賃を少し割安にした上で代行してもらっている。例えば洗濯物が洗濯機に放置されていた場合、外国人入居者向けに「洗濯物は放置禁止」と張り紙してもらうといった具合だ。

注意点(2)サブリース会社との契約精査が必須

「初心者も安心」「『家賃保証』あり。ご相談ください」――。遊休地を保有する個人の元を足しげく訪ね、アパート経営を勧める住宅メーカーや不動産会社は、おおむね物件を一括して借り上げ、借り手に転貸するサブリース事業を手がけているケースが多い。

アパート経営は初めてといった場合、10~20%に相当する手数料を払えば入居者を募集してくれたり、一定期間は空室が出ても家賃を保証してくれたりするサブリース業者は一見、強い味方に見える。ただアパートローンが急増する過程で、物件を所有する大家とサブリース業者との間で当初の想定と実態にズレが生じ、トラブルが目立つようになっている。

最近増えているのは家賃の長期保証を巡る問題だ。一定期間の「定額保証」を条件に契約するケースが多いが、実際は借り手が付かず空室が続くと、サブリース業者が家賃の減額を要請してくる。減額すれば赤字になってローン返済に支障があると大家が拒んだ場合、契約を解除される場合がある。

今年2月には愛知県の80歳代の男性が不動産会社に対し「10年家賃が変わらない契約だったのに、途中で減額されて損害を被った」と主張し、訴訟を起こした。サブリース会社と契約する際には、経営環境が悪化した場合や空室時の条件など内容を詳細にチェックする作業は欠かせない。

住宅診断サービスを提供するさくら事務所の長嶋修会長は「物件の立地によって異なるが、家賃は年1~3%のペースで下がると考えるのが無難」と指摘する。サブリース会社によっては「家賃保証」をうたいながら、契約の中に物件を所有する大家が家賃収入を得られない「免責期間」を盛り込んでいる場合もある。修繕やエアコンといった設備更新の費用は物件所有者の負担となる場合がほとんどだ。

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注意点(3)多額の借り入れ、危険増す