つくる:誕生日にちなんだ水玉模様

1919年に初めて発売された当時のパッケージは、化粧箱入りの茶色のガラス瓶。乳酸菌は光に弱いため、茶色の瓶を使用していた。水で希釈して飲むスタイルは、この頃からだ。

1919年に発売した当初のパッケージ。化粧箱に入れて販売していた

カルピスというカタカナのロゴを斜めに配したラベルは、アールデコを意識したようなデザインだ。発売から3年ほどは、この箱入りのパッケージだったが、デザインについての詳細は不明。箱に使用している「ミロのヴィーナス」の絵柄について、カルピスのパッケージデザインや広告などを担当しているアサヒ飲料・マーケティング本部宣伝部の野村典子・課長は「当時、おいしい滋養飲料として発売した。女性の健康美の象徴として選んだのではないか」と推測する。

1922年、箱の代わりに水玉模様の包装紙で瓶を巻くスタイルに変更した。カルピスの発売日が1919年7月7日の七夕だったことから、天の川の「銀河の群星」をイメージした水玉模様が採用された。デザインを担当したのは、宣伝部の岸秀雄さん。当初は青地に白色の水玉だった。水玉の配置は「夜空で輝く星は自然のものだからランダムに。だけど密度はほぼ一定に」というルールがあり、それは今も受け継がれているという。

包装紙が白地に青の水玉模様に変更したのは、1953年。その後、1995年に紙容器となり、2012年からはプラスチック容器となった。プラスチック容器は約2年かけて開発。4層構造により、光と酸素をブロックする。包装紙で巻いたパッケージのイメージを再現した「ひねりのある形状」が特徴だ。

売る:社員が価値を深く理解して伝える

「ブランドの認知力は100%に近く、飲んだことがある人も90%以上という調査結果が出ている」と話すのは、アサヒグループホールディングス広報部門の真鍋礼子・マネージャー。誰もが知るブランドとして成長したが、その一方で売り上げが伸び悩んだ時期がある。「スーパーのチラシで目玉商品として扱われることが多くなり売値が下がった。それに伴い、売り上げも落ちてしまった」と真鍋マネージャー。そのとき、カルピスの価値が伝わっていないことが、安売りされる要因の一つと考えたという。

カルピスの原材料は「搾ったままの国産生乳」。乳酸菌と酵母からなる「カルピス菌」を加え、2度の発酵によって作られている。だが、カルピスが何から作られているか知らないユーザーも多かったという。自然の恵みによって作られるカルピスの生産方法やおいしさの理由など、社員もしっかり理解しようと、マーケティング部が主体となって勉強会の開催や工場見学を実施するようになった。ユーザーに対しては、自分たちの価値を等身大で伝えようと広告やイベントなどでアピール。「乳酸菌と酵母の生み出すチカラ」というロゴマークも作成し、パッケージに入れた。

出前授業「こども乳酸菌研究所」の模様

7月7日のカルピスが誕生した日には、社員がスーパーの店頭でカルピスについて説明しながら実演販売も行っている。また、CSR(企業の社会的責任)の一環として、「こども乳酸菌研究所」という出前授業も実施している。カルピスに入っている乳酸菌や酵母を顕微鏡で観察したり、ヨーグルトを食べ比べたり、社員が先生となって授業を行う。「社員が人前でカルピスについて語る機会は、自らの理解を深めることにもつながっている」(野村課長)