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ウナギをせいろ蒸し ご飯に染みわたるたれ・柳川の味

2017/11/28

ウナギのかば焼きは、東西で焼き方が違うことをご存じの方も多いだろう。主として蒸す過程が入る東日本と蒸さずにそのまま焼く西日本とに大別されるが、九州の筑後平野を中心にした一帯に、そのどちらでもない個性的なウナギの食べ方がある。

せいろ蒸しだ。

福岡県柳川市で誕生した調理法で、蒸さずに地焼きにしたウナギをせいろに盛ったご飯の上にのせ、それを蒸すという、関東の蒸し焼きと、関西でいう「まむし」が融合したような食べ方だ。

せいろ蒸し 高圧の蒸気で蒸す

関東では背から開いたウナギは串を打って白焼きし、いったん蒸してからたれ焼きにするのが一般的。一方、関西のウナギは腹から開いて、切らずに頭も付いたままで白焼きし、たれ焼きにする「地焼き」という手法だ。「まむし」というのは、炊きたてのご飯の中に地焼きしたウナギを刻んでうずめ、ご飯の熱でやわらかくする食べ方だ。

柳川を訪れ、現地ならではのこだわりの味を探った。

柳川は、町じゅうに掘割が網の目のように走り、それを「どんこ舟」という底の浅い舟でゆっくりと巡るのが観光の目玉だ。そうした水路が、伝統的にウナギを育んできたことは想像に難くない。

まずは、料理店にウナギを卸すとともに、自社で加工まで手掛け、かば焼きなどを販売する「うなぎの江口商店」を訪れた。

江口商店こだわりの国産ウナギ

社長の江口良二さんは、ウナギを語り出すととまらなくなるという、地元では有名な「ウナギの伝道師」だ。

「アンギラ・アンギラ、アンギラ・ジャポニカ……」。

職人のこだわりを語るのかと思いきや、いきなり難解なウナギの学術名をたたみかける話しぶりに、まず驚かされた。

実はウナギは世界に広く分布し、フランス料理にも使われる食材だ。しかし、江口商店では、日本からマリアナ海溝、そしてフィリピン沿岸を経て稚魚・シラスとして日本に戻ってくる国産ウナギ、学術名「アンギラ・ジャポニカ」に強くこだわる。「味はもちろん、歯ごたえ、香りも一番」という。当然、輸入ものとの価格差も大きい。

外来種(左)と国産ウナギ 目の大きさや色が違う

仕入れたウナギは、仕入れ先ごとに分けて管理し、状態を見極めて出荷、調理する。

実は、国産ウナギの中に輸入ものが入り込む事故が後を絶たないのだという。仕入れたウナギの中に混入していたという外来種を見せていただいた。どう猛な性格で、言われてみると国産と動きや見た目が違う。

混入が後を絶たないのは、ウナギを扱う人間が「ウナギのことを知らないから」と江口さんは言う。強い探究心は、国産ウナギへのこだわりの強さの裏返しでもある。

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