非加熱と思えないおいしさ 話題のローフードで元気に
今、ハワイなど海外でも話題になっているのが「ローフード」という食スタイルです。「ロー(raw)」、つまり加熱していない生の食材を食べることを意味します。生の食品に含まれる酵素や栄養素は加熱することで減少したり破壊されたりするため、生の食品をそのまま食べることで効率的に酵素をとれば健康やダイエット、美容にも効果があるといわれています。
ローフードの主な食材は、生の野菜や果物、ナッツ、海藻類など。48度以上に加熱したものや、加熱による加工処理をした食品はローフードには含まれません。生の食材だけとは思えないほど、楽しく食べられるよう工夫されたものが人気を博しているのです。
目標は1日1食ローフード、酵素で体調改善
体内には、食べ物の消化に使われる「消化酵素」と、生命維持に必要な血液循環や呼吸、新陳代謝などに使われる「代謝酵素」の2種類の酵素があります。加熱された食品はそれ自体が酵素を持たないので、食べたときに体内の消化酵素をたくさん使うことになります。一方、ローフードは食品自体が持っている「食物酵素」で自己消化するため、体内の酵素をあまり消費せず、その分、代謝酵素がうまく働けるようになるといわれています。
「ローフードマイスター検定」を運営している「日本リビングビューティー協会」常任理事の北原正江さんは、食品を生で食べることにより「代謝酵素がうまく働き、毒素の排泄や代謝が促進されます。その結果、やせる、元気になる、体調がよくなるなどの効果が期待されます」と説明します。
とはいえ、急にローフードに切り替えることはとても難しそうにも思えますね。北原さんは「『1日1食、ローフードを食べる』ことを提案しています。朝が取り入れやすいかと思います。朝は解毒の時間ですので、野菜や季節の果物など消化によいものがいいですね。果物は今でしたらリンゴ、柿、ミカン、洋ナシ、ブドウなどがおすすめ。スムージーにしてもいいですね」といいます。これなら続けられそうですね。
さらにローフード専門店では、一見すると加熱していないとは思えないようなメニューが楽しめます。
非加熱なのにパンケーキも楽しめる
東京・恵比寿にある「レインボー・ローフード」では、「誰もが楽しく続けられ、広がってこそ意味がある」という思いからできるだけ日本人の口に合う身近な食材を使ったローフードを提供中。店舗の営業だけでなく、ランチとして宅配も行っています。
同店の「ベトナムバインミー風RAWラップセット」は、食べやすい形のラップサンド。野菜を包んでいる皮はカシューナッツや長芋を使用し、48度以下で12時間以上乾燥させてつくられています。中身は、不飽和脂肪酸がバランスよく含まれているヘンプオイルを使った大根とニンジンのなますや、パクチー、しょうゆやメープルシロップで味付けした生のカシューナッツなど。非加熱の食材だけなのに、彩り豊かで楽しく食べられる工夫が満載です。
「より多くのお客さまに『ローフード』を体験していただきたいと思い、2017年10月から宅配も始めました。ローフードに強い興味がない方にも気軽に試してもらえるといいなと思います。また、ローフードはおなかいっぱい食べても眠くならない、最強のランチ食でもあるんですよ」と同店店長の小林啓悟さん。宅配の利用者はリピーターが多く、半数近くが外国の方だそうです。
そして店舗でも宅配でも好評なのがこちらの「RAWパンケーキ」。非加熱のパンケーキです。
「生地にはカシューナッツやリンゴを使用し、48度以下で8時間ほど乾燥させています。長芋とチアシードをつなぎとして使用しているので、もちもちとした食感が特徴です。クリームもカシューナッツとメープルシロップを使用していますが、レモンを少し搾ってあるのでさわやかな酸味があり、飽きることなく最後までおいしく召し上がれますよ」と小林さん。こんなスイーツも食べられるなら、ローフードも楽しく取り入れられそうです。
さらに、同店ではローフードマイスター検定講座やローフード体験会も開催しており、人気を博しています。参加者は20代から60代までと幅広く、8割は女性だそう。セミナーの内容によって前後しますが、初級者向けのものであれば3900円(税込み)で受講が可能だそうです。
毎月変わる予約制ランチでローフードを堪能
東京都世田谷区で、ローフードやロースイーツを学べる講習会やイベントを行っているスクール「グリーンライフホリスティックアカデミー」では、毎月内容が変わる予約制のランチ会「ローフードテーブル」が好評です。
定員は毎回10人。「世界のおいしいものをローフードで楽しむ!」をコンセプトに、月ごとに変わるメニューで、趣向を凝らした色鮮やかなプレートが楽しめます。例えば17年9月は「グリーンカレー&イエローカレー」。ロースイーツとお茶がついて2592円(税込み)という内容でした。
「刺激的な辛さのグリーンカレーと、ココナッツと野菜の甘みがやさしいイエローカレーを食感が楽しいカリフラワーライスと共に出しました。付け合わせのライタ(ヨーグルトのサラダ)は、乳製品の代わりにカシューナッツでつくったヨーグルトを使っています。ゴマとターメリックなどのスパイスで大根やニンジンを味付けしたアチャールは、ネパール風の漬物です。もちろん、すべて生の食材を使っています」と同アカデミーを主宰する山口蝶子さん。
加熱していないとは思えない味わいは参加者にも好評です。「ローフードテーブルは、初めて食べるローフードの体験がおいしくて楽しいものであってほしいという思いで始めました。元気になる見た目、食べたときのおいしさと満足感、食べた後も胃が重くならず、すっきりと消化される体の心地よさを体験していただきたいです」と山口さんは続けます。
こちらのアカデミーでもローフードやロースイーツの講座、ヨガやファスティング(断食)などの様々なイベントが行われており、女性が体と心をリセットできるようなライフスタイルを提案しています。
ローフードは一見するとストイックな食スタイルのようですが、気軽にできることから取り入れるとよさそうです。ローフードの考え方を取り入れて、体調維持に役立ててみるといいかもしれません。
※メニューの価格は特記がない限り、税抜きです。
(取材・文 GreenCreate)
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