定年はなくなる 生涯現役だけが安心老後の道(橘玲)作家・橘玲氏に聞く 生涯現役を貫くべき理由(下)

日経マネー

英国でも同様の流れになっていますし、欧州連合(EU)も定年制廃止に舵を切るかもしれない。年功序列の賃金体系が残る日本でいきなりそれをやったら大混乱に陥るでしょうが、この流れにいつかは日本も巻き込まれ、定年制というシステムは終わるとみています。

運用だけでは過ごせない

現在の超低金利では、老後働かずに資産運用で暮らしていくのは難しいでしょう。トレーディングだけで生活していける人もいますが、そういう人はたとえ社会性に乏しくても特殊な才能を持っていて、普通の人はまずまねできない。金融機関の一部で高齢者に高リターンをうたって高リスク・高コストの商品を売りつけるのが問題になっていますが、リテラシーも資産もないのに一発逆転を狙って投資に向かうのは彼らの食い物にされるだけです。

冷静に考えると、月10万円で120万円を年間で稼ごうと思うと、元手1000万円として利回り12%で回していけないといけない。しかし、安定して利回り12%を取れる人なんてほとんどいません。働かず投資だけで生きていくのは無理と言っていい。

逆に定年後も仕事を続けて、年収120万円を稼ぐのは難しいことではない。結局基本は、働くという形で人的資本を回した方が、金融資本を回すより利回りが大きくなるわけです。

それでもこれから投資をする意味があるとすれば、それは将来に備えた貯金に近いものです。例えば2018年1月から始まったつみたてNISA(少額投資非課税制度)のようなものです。人間誰でも誘惑に弱いから、お金が手元に入ると使ってしまう。そこで強制的に天引きされてNISAの口座に入れてしまえば、今手元にあるお金で何とかやっていくしかないという気になる。一旦預けちゃったものを取り崩すのは、心理的にハードルが高いですからね。

人的資本を使ってお金を稼ぎ、それをどんどん積み立てて将来に備えるというのが一番いいのだと思います。そのまま貯蓄に回してもいいですが、もし積み立てで運用するなら、低コストの世界株式に投資するETF(上場投資信託)でしょうね。資産は分散すべきですが、働いてもらうお金は基本的に円です。通貨を国際分散するなら、円資産をたくさん持つ必要はない。それなら世界株に投資し、間接的に外貨資産を持つという形がいいのではないでしょうか。

(日経マネー 川路洋助)

[日経マネー2018年1月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年2月号

著者 :日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 750円 (税込み)


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