寿命が延びれば延びるほど、退職後の老後の時間は長くなり、必要なお金も増える。そのためには、資産運用だけでなく「生涯現役」の覚悟で働き続けるのも大事なことだ。国際金融小説『マネーロンダリング』などを執筆した作家の橘玲(たちばなあきら)氏は、「資産運用だけで老後は過ごせない。定年後も働き続けることがベストな選択」と話す。
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前回お話ししたように、女性の働き方にしても老後にしても、これまで当然とされてきた「専業主婦」や「悠々自適の老後」という価値観は変わっていますし、経済的にも割が合わなくなってきている(前回記事「年収800万円の人生戦略 最適解は共働き(橘玲)」)。この10年でそういう現実みたいなものがようやく見えてきた感があります。一般に保守とみられている安倍政権ですら、女性活躍を叫んでいますしね。
今の日本は欧米で起きていることを10年から20年、後追いしているような状況です。日本の社会はこれから女性や高齢者でも働けるというように急速に変わっていくと思いますし、今はその過渡期にあるのだと思っています。
本当の格差はこれから始まる
となると、そこに対応できるかどうかで格差が広がっていくはずです。例えば高齢化で言えば、需要と供給の法則からすると今後どんどん増える老人の市場価値は下がり、若者の価値は上がっていきます。となると、たくさんいる老人の一人では大切にされなくなる。超高齢化社会では、しっかり働いて輝いている老人とそうでない人とでは、経済的にも社会的にも大きな格差ができるでしょう。