郵便か黒ネコか飛脚か 宅配料金改定で最安値は?
人手不足による「物流危機」で、宅配便の値上げが相次いでいる。2017年10月にヤマト運輸が宅急便の料金を27年ぶりに改定し、佐川急便の飛脚宅配便も11月に追随。ゆうパックの日本郵便も18年3月に値上げする。荷物を送る際のコストアップは避けられない状況だ。では、最も安く利用できる事業者はどこになるのか。
3社の料金水準は微妙に異なるうえ、値上げと同時に割引制度も拡充される。最安の事業者を選び、割引を駆使すれば、負担増は抑えられる。
最得ゆうパック、重量や割引でも優位
値上げ後の3社の東京―大阪間の新料金を比較したところ、ゆうパックがほぼ最安となった。最大手の宅急便を意識して、戦略的に低い料金水準に抑えたようだ。
また、ゆうパックは他の2サービスと異なり、サイズにかかわらず制限重量が一定なのも特徴だ。100サイズの場合、他社は10kgまでなのに対し、ゆうパックは30kgまで送れる。18年3月以降は25kgまで(25~30kgは500円加算)となるが、それでも優位性は揺るがない。
割引制度も充実する。集荷を頼まずに取扱店に持ち込んだ場合の割引額は120円と、他社よりも20円多い。さらに料金改定と同時に「Web決済型ゆうパック」を導入予定。クレジットカードなどでネット決済したうえで郵便局やコンビニに持ち込めば、180円引きとさらに安くなる。
ヤマト運輸の宅急便も17年10月の料金改定に合わせて割引制度が拡充されており、発送時には最大で200円割り引かれる。ただし、コンビニではなくヤマトの直営店に持ち込む必要があるうえ、クロネコメンバーズ(年会費無料)への入会が条件。ゆうパックのほうが使い勝手は良さそうだ。
飛脚宅配便の17年11月の料金改定は100サイズ以上が対象で、ヤマト運輸とほぼ横並びとなる。小さな60、80サイズは料金が据え置かれるため、18年春以降は佐川急便が3社で最安に躍り出る見込み。ただし割引制度は、直営店や取次店に持ち込んだ場合の100円引きしかない。また、ゆうパックや宅急便と異なり、コンビニでの扱いはなく、直営店の数も少ない。使い勝手は劣る印象だ。
カード払いや電子マネーでも得できる
発送コストを抑えるうえで見落としがちなのが、料金の支払い方。クレジットカードや電子マネーで払えば、1~2%程度得できる。
狙い目はコンビニだ。ゆうパックを扱うローソンでは、クレジットカード、電子マネー、クオカードなど、取り扱う決済手段すべてが使える(ポイントカード提示によるポイントは付かない)。宅急便を扱うセブン-イレブンも同様だ。ファミリーマートでは、電子マネーやファミマTカード以外のクレジットカードは使えないが、Tカードの提示によるポイント付与(0.5%)は受けられる。
ちなみにヤマト運輸の直営店でも、主要な電子マネーが使える。また、ヤマト運輸の独自電子マネーで支払えば、「クロネコメンバー割」が適用されて10%引きになる。ただし、1回のチャージは5000円以上で、ヘビーユーザー向けといえる。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年12月号の記事を再構成]
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