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REIT投資の勘所

REIT、期待の個別銘柄探し 3つの投資指標はこれだ

日経マネー

2017/12/8

日経マネー

 活況に沸く株式市場とは対象的に、REITはさえない展開が続いている。東証REIT指数は2017年初からの下落基調が収まる気配もなく、10月の取引時間中には7月に付けた年初来最安値を割り込む局面もあった。

 価格下落の一番の原因は森信親金融庁長官だ。毎月分配型の投資信託販売を問題視していることで、REITを投資対象とする投資信託からの資金流出が止まらない。9月までの集計値だが、17年は日銀以外の全投資主体がREITの売り越しとなりそうだ。これはREIT史上初のこととなる。

 ただし、個別銘柄に目を移すと業績の良い銘柄も多い。1口当たり分配金が過去最高となった銘柄の割合は17年上半期(1~6月)で42%を超えている。加えて、株式市場の活況が企業業績拡大を背景にしているなら、REITの収益源であるオフィスの賃貸市場にもやがて追い風が吹くことになるはずだ。低金利も続いており、既存借入金の借り換えで支払利息が減る傾向も続く。

 以上を考えると、REIT価格は当面、弱含むかもしれないが、長期投資を考えるなら十分な利回りの銘柄が多い状況と言える。

■PBRと含み益をチェック

注:投資口価格は2017年9月1日時点

 具体的な銘柄を探すには以下の3つの指標に着目したい。まずPBRが高い銘柄の中から選ぶこと。株式市場ではPBRが高い銘柄は割高という判断になるが、REITの場合、高PBRは増資を行った場合に1口当たり分配金が増えやすいという指標になる。高い価格で増資を行うと新たに発行する口数が少なくて済むためだ。

 PBRは価格によって変動するが、REIT全体の平均値1.25倍程度(10月時点)が目安。この水準を超える銘柄が候補になる。

 次が含み益率だ。17年上半期に分配金が過去最高となった銘柄は、好調な不動産市場で物件を売却した利益が分配金に大きく貢献した銘柄が多い。含み益率も決算期ごとに異なるが、17年上半期の平均値は13%だ。少なくともこの水準を超えている銘柄から選びたい。ただし、物件売却を頻繁に行うと、同額の物件を取得しても含み益が減少する。分配金の動向と併せて確認しておきたい。

 PBRと含み益率は長期的に見て分配金の上昇が期待できる銘柄を探すための指標だ。例えばPBRが高い銘柄は増資で分配金が増える可能性は高いが、増資がなければ意味はない。

 分配金ではなく、もう少し短い期間での値上がり益を狙うなら、1口当たりの分配金利回りに着目したい。足元、投資家のREITに対する関心は薄れており、一部の銘柄を除いて全般に割安(利回りは高い)に放置されている。今後、投資家の関心が戻ってくれば、利回りの高い(価格の安い)銘柄の価格上昇が期待できる。市場平均(10月末時点で4.25%)程度か、それを超える利回りの銘柄が対象となるだろう。

関大介
 不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2018年1月号の記事を再構成]

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