ベイン・アンド・カンパニーのパートナー、エリック・ガートン氏

メールやインターネットは、場所にとらわれず気軽にコラボレーションが可能になる便利な道具だ。しかし、リーダーが組織を運営するために不可欠な『考える時間』をそぎ落としかねないもろ刃の剣でもある。朝6時30分にオフィスに到着し、仕事に取りかかるのはファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏。その理由を「朝は、誰にも邪魔されず考えられるから」と話す。

朝型勤務で知られる伊藤忠商事社長の岡藤正広氏も、「朝7時にはオフィスに来て、来客前に新聞を読んだり、資料を見て色々考えながら仕事をやると、ものすごく効率が上がる」という。

組織を変えるには「ゼロからやり直し」しかない

もはや、インターネットなしの仕事は成り立たない。うまく付き合っていくにはどうすればいいのだろうか。ガートン氏は、3つの施策があるという。

第一に、時間は有限な資源である、という文化や風土づくりだ。予算は、使い方にある程度共通したルールがある。ガートン氏は、時間も同じように考える。そこで有効なのがテクノロジーだ。今は、オンライン上のカレンダーやチャットの履歴で会議等の時間の使い方がわかる。

日本マイクロソフト(MS)で働き方改革を推進する輪島文氏は、「MSの『Office(オフィス)』のツールで、1週間に会議にどれくらい参加したか、さらに『内職』をした会議の時間がどのくらいあるかもわかる」と話す。集中している時間を可視化することで、マネジャーは有限の資源である「時間」の配分を再考できるのだ。

第二に、組織の単純化だ。世界最大手のビールメーカーであるアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)は、トップがみずから生産性の向上を掲げて成功した企業だ。最高経営責任者(CEO)と第一線で働く現場との間に、5、6階層以上は作らないという原則をつくっている。コミュニケーションも、社内メールはご法度で、うち合わせは対面の1対1がほとんどだ。