WOMAN SMART

DUALプレミアム

国際結婚ママ NPO法人設立、外国人家族と交流促進

日経DUAL

2017/12/7

日経DUAL

 日本にいながら、家族みんなで外国人と触れ合えるイベントを企画するNPO法人「ザ・グローバル・ファミリーズ」。この団体を立ち上げた粟野瑞季さんは、フランス人の旦那さんとの間に6歳と3歳のお子さんがいる働くママです。外資系企業ならではの好環境で時短勤務をしながら、パラレルキャリアにも挑戦している粟野さん。とても自然体な魅力があふれるインタビューとなりました。(聞き手は藤村美里さん)

■訪日外国人家族を案内した体験から

――育児と仕事の両立に加え、NPO団体をスタートするというのは大変な労力が必要だと思うのですが、どんな動機があったのでしょうか。

粟野瑞季さん(写真:鈴木愛子、以下同)

 外資系の企業に勤め、夫はフランス人となると、東京で暮らしていても、周囲に外国人がたくさんいる環境です。でも、その外国人というのは大人ばかり。上の子が大きくなるにつれて、大人だけではなく年が同じくらいの多様な国籍やバックグラウンドを持つ子どもと触れ合う機会が大切なのではないか、そのような機会をもっと増やしてあげたいと感じていました。

 そこで、子連れで来ている訪日外国人家族と、子連れで一緒におでかけして、1日一緒に過ごすという活動をしてみたんです。子どもたちも仲良くなって、大人たちもいつもとは違う経験をして、ということを自分でやってみて「これはすごく良い!」と思って。友達家族にも勧めたところ、皆とても良いアイデアだと言ってくれたので、活動を広げていくためにも、NPO法人として団体を立ち上げることにしました。日本にいながらグローバルな体験をしたい人は周囲に沢山いたので、ちゃんと活動できるように団体を作ったという感じでしょうか。

 ただ、この家族で案内する「グローバルおさんぽ」というイベントを中心に活動していこうと思っていたものの、訪日外国人家族へのリーチが難しく、なかなか活動が広がっていかなかったので、まずは日本人も外国人も一緒に楽しめるような家族イベントを企画していこうということで、今はそのイベント活動がメーンになっています。

藤村美里さん

――「グローバルおさんぽ」という活動のイメージが強かったのですが、最近ではイベント活動が主流なのですね。

 そうですね。イベントは、日本在住外国人がターゲットとなりますが、実は「グローバルおさんぽ」も、日本で暮らしているけれどなかなか地域に溶け込めず、日本人とのつながりが持てていない家族などにもニーズがあり、参加したいと言われます。

 イベントの内容は、こどもの日に鯉のぼりを作ったり、東京タワーの展望台でヨガをやったりと様々です。毎回、英語で実施していても日本語のサポートも入れているので、国籍や言語の壁なく誰でも参加できるような内容にできるよう工夫をしています。

■多様な言語・文化があることを伝えたい

――最初のきっかけは、わが子が様々な国籍やバックグラウンドを持つお子さんと触れ合う機会を増やしたいということでしたが、日本国内でインターナショナルスクールに通わせようと考えたこともありますか。

 保育園に入れる時点では選択肢にはありませんでした。近所のインターナショナルスクールは費用が高額ですし、英語で教えるスクールがほとんどですが、夫はフランス人。私たち夫婦は共に英語が母国語ではありません。言語に関しては、もちろん英語はできたほうがよいのですが、必ずしもネイティブスピーカーレベルでなくても良いのではないかと思っています。色々な国の文化や多様な人がいることを知ってほしいという気持ちはありますが、インターナショナルスクールに入れることだけがその方法ではないという思いもあり、それがNPOの活動にもつながっています。

 日本人として、フランス人として、育っていってほしいという気持ちがある一方で、日本やフランスとは違う国があって、色々な人がいるということをまずは知ってほしいし、少しでも触れてほしいという思いがありました。

 私自身も帰国子女というわけではなく、新卒で勤めた会社を辞めた後にインターンシップに行ったオランダで本格的に英語を身につけました。ハウスメートたちも多国籍で多種多様。それなりにカルチャーショックもありましたが、そこで多様性の面白さや重要性を実感したんです。

――なるほど。そうなると、お子さんの第一言語は日本語、その次がフランス語になりますが、ご家庭では何語で話していますか。

 私たち夫婦の会話は英語で、私と子どもたちは日本語、夫と子どもたちはフランス語を使います。なので、子どもたちはあまり英語を話しません。フランス語は、上の子も下の子も理解できているようですが、フランスにいる同年齢の子どもたちよりはボキャブラリーなども少ないと思います。

 今は日本の公立保育園に通っているため、日本語は毎日お友達から色々な言葉を吸収してきています。良い言葉も悪い言葉もたくさん覚えてくる年頃ですよね(笑)。同年代とも話しているので、日本語はとても自然体でネイティブだと思いますが、他の言語は大人としか話していないので、子どもにしては少し不自然な感じかもしれません。

 ただ、「グローバルおさんぽ」などのイベントでは、「この人は日本語もフランス語も通じない」と認識したら、頑張って英語で話しかけたりしているようです。子どもって本当にすごいですよね。

■充実した制度が整う大手外資系企業の環境

――パラレルキャリアとなると、本業との兼ね合いも難しいところですが、本業はどんなお仕事内容になりますか。

 私は、トムソン・ロイターという外資系企業の金融情報の部署に勤めていて、今は金融機関を中心としたお客様に金融情報を提供するサービス端末の顧客サポート業務をしています。第一子の出産後から、時短勤務を選択しているので出社は定時より1時間遅く、勤務時間は10時から17時。第二子のときは、産休・育休で1年半ほどお休みしてから復帰しました。

 もともと、そんなに残業するカルチャーがない会社で、私の部署は特に残業している人はほとんどいないんです。年俸制で、残業代がつかないというのも関係しているのかもしれません。私も、出産前からあまり残業はしていなかったのですが、時短勤務にしている出産後はさらに早く帰っているという感じですかね。17時の鐘が鳴ったらすぐにダッシュで飛び出して、保育園へお迎えに行っています。

――まだお子さん二人とも未就学児ですし、熱が出るときもあると思います。旦那さんとの分担はどうなっていますか。

 実は、私の実家が電車で10分ほどのところにあり、本当に困ったときには母に頼ることもできる状況です。本当に恵まれていると思います。子どもが病気になったときには、夫と私と実母の3人で分担して、1日ずつ休んで対応しています。

 夫は長距離通勤で2時間ほどかけて会社に通っているので、朝6時に起きて、保育園に朝8時半くらいに送っていくのも、夕方お迎えに行ってから寝かしつけまでやるのも基本的には私のワンオペ育児です。もう少し夫の職場の近くに引っ越すことも検討したのですが、やはり実家や職場に近く、保育園に入りやすい地域から離れるのは厳しいと思い、夫に長距離通勤を頑張ってもらうことを選択しました。

――保活の状況はいかがでしたか。

 私の場合は、第一子も第二子も、そこまで苦労しませんでした。ただ、第一子のときには、0歳児のタイミングで入園しないと難しいと言われたので、8月に生まれて4月に入園(仕事復帰)というスケジュールでした。第一子がうまく保育園に入れたこともあって、第二子はきょうだいの加算ポイントもあり、1歳児でもスムーズに入れました。今住んでいる地区は第二子は保育園が無料なので大変ありがたいと思っています。

■成長に合わせて多文化共生の発信を続けたい

――国際結婚をされているということで、今後の教育方針についても夫婦で話したりするのでしょうか。

 私は、日本で暮らしていて、子どもたちの日本語も全く問題ないので気にしていませんでしたが、夫はずっと考えていたようでした。子どもたちは日本人でもあると同時にフランス人でもあるので、フランス人としてのアイデンティティーをどう得ていくのか、と。

 しばらくは日本で暮らしていくだろうということで、2018年の小学校入学を前に夫婦で話し合った結果、長男は2017年9月にフランス人学校に入学させました。公立の保育園に通っていたため、日本語は全く問題ない一方で、フランス語は父親との会話のみ。今後、どこかで習得していく必要があったからです。

 今までは保育園の親同士のネットワークのおかげで、LINEグループで持ち物の確認をし合うなど助け合いながら日々を乗り切っていたのですが、これからは色々と勝手も違うと思うので、不安もありますね。

―― 新しいスタートですね。粟野さんのパラレルキャリアについても、今後の展望や目標を教えてください。

 NPO団体「ザ・グローバル・ファミリーズ」の活動については、自分や他のメンバーの子どもたちの成長に合わせて、活動の幅や内容も広げていきたいです。色々な年齢や興味にあった活動ができればいいなと思っていますし、これまで以上に家族で多様な価値観に触れる場や、多文化共生について語り合える場作りをしてきたいです。

 本業についても、仕事を通して少しでも社会に貢献したいという思いから、予てから熱意を持って取組んでいるESG(環境・社会・ガバナンス)分野に引き続き関わって、その発展に寄与していきたいと思っています。

取材後記
 明るく真っ直ぐな雰囲気が印象的だった粟野さん。新卒で勤めた会社を辞めて、インターンシップに行ったというオランダで、カルチャーショックを受けながらも多様性の面白さや重要性を実感したという話にとても共感しました。グローバルというと、英語の勉強だと捉えられがちですが、実際はそうではなく丸ごと多種多様な世界を受け入れる経験です。「ザ・グローバル・ファミリーズ」の運営にもその時の経験が生きているのではないでしょうか。訪日外国人も増え続け、東京オリンピックも迎える中、今後の活動がますます楽しみです。
藤村美里
 TVディレクター。早稲田大学卒業後、民放テレビ局入社。報道情報番組などでディレクターを務める。2008年に女児出産後、児童虐待・保育問題・周産期医療・不妊医療などを取材。2013年退社。海外と東京を往復しながらフリーで仕事を続ける。働くママの異業種交流会「Workingmama party」を主催。働くママ&20代30代女子が集まる異業種交流会「Women’s Lounge」も立ち上げた。

[日経DUAL 2017年9月26日付記事を再構成]

WOMAN SMART新着記事

ALL CHANNEL