――帰国の計画はありますか。

「体力のある企業が、世界を変えるために長期的に多くの研究資金を提供するケースがあれば、考えます。就職は、まだだいぶ先になるのでその時の米国や日本の状況にもよりますが」

――これから米国の大学に進学する学生のために必要なことは何でしょうか。

「この4年間で(孫正義社長が率いる)ソフトバンクグループや(柳井正会長兼社長の)ファーストリテイリングの関係財団が学部入学の奨学金を始めるなど変わってきている面もあります。しかし進学前後の支援や情報は、まだまだ少ない」

「中国の一部の高校では、優秀な学生を国内受験向け、海外受験向けに振り分けて教育すると聞きました。日本でも、多くの情報が得られるようになれば、もっと多くの留学生をスムーズに送ることができるようになると思います」

東京大学は世界大学ランキングで評価が下がっている

憧れの米留学時代は終わった

米国留学の支援などを行うNCN米国大学機構の堀誠人理事長は、「米国に憧れて『最初に留学ありき』の時代は終わった。現在の高校生ははっきりした将来の計画を持って留学している」と言い切る。

毎年、海外トップ大への合格者を出しているベネッセの進学指導塾「Route H(ルートエイチ)」。これまでにMIT、ハーバードなど名門5大学に合計25人の日本人高校生を送り込んだという。東大と海外トップ大の両方の合格者は17人いる。ベネッセの大学・社会人事業本部の藤井雅徳本部長は「東大を選んだ学生はゼロ。もともと日本での就職で有利になると考えて海外を志向する学生はいない」という。

東大の世界的評価は下がっている。英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)の2017年の「世界大学ランキング」によると、東大が順位は16年の39位から46位になり、過去最低となった。東大など国内有名大より海外の名門大へという志向は年々高まっている。

高校でも、渋谷教育学園幕張高校や同渋谷高校など海外の名門大進学に積極的な学校が増えている。公立高校でも、都立国際高校は「国際バカロレア」の専門コースを設け、今年から海外大の受験に挑んでいる。

奨学金制度も孫氏や柳井氏らが若手人材育成の財団を設立して新たな流れが生まれつつある。しかし、米国大学機構の堀理事長は「米国の大学支援の状況に比べるとまだまだ力不足」という。海外の大学に挑戦するための資金面などの支援体制をさらに充実させる必要がありそうだ。

(松本治人)