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プロが料理を作り置き 家事を軽減、利用者が急増

NIKKEIプラス1

2017/11/23

洗い物やコンロの清掃もしてもらえる(タスカジ)

 自宅キッチンで家事代行会社のスタッフが料理を作り置きしてくれるサービスが伸びている。実は共働きで幼い2人の子どもを育てる記者(37)も、これで夕食作りの悩みから解放された。

 10月のとある月曜の朝。フランス料理店の元コック、タサン志麻さん(38)が記者の自宅を訪れた。冷蔵庫を開けて目ぼしい食材を取り出すと、その場でメニューを考案。慣れた手つきで調理を始める。記者は途中で仕事に出かけるが、帰宅して冷蔵庫を開けると、オーブンでこんがり焼いたローストポーク、子どもの大好物のレンコンの挟み焼きなど11品が作り置きされていた。

 タサンさんは家事代行会社タスカジ(東京・港)のスタッフ。どの料理も記者家族の好みに合うよう味付けしてあり、「アッシパルマンティエ」というジャガイモを使ったグラタンなどプロならではのレパートリーも多い。使った鍋や調理具をすべて洗い、コンロや床の掃除まで3時間でこなしていく。

 以前は記者も自分で夕食を作っていたが、おなかをすかせた子どもがぐずったりして大きな負担だった。スーパーで総菜を買って帰ったり、ファミリーレストランに連れていったりすることもしばしば。「本当は栄養バランスのいいものを手作りしてあげたいけど…」と悩んでいた記者を救ってくれたのが作り置きサービスだった。

 共働き世帯を中心に作り置きサービスの需要は大きい。家事代行大手ベアーズ(東京・中央)では「ここ2~3年で急激に需要が高まった。利用件数は年25%超の伸び」(高橋ゆき副社長)という。タスカジは「料理が得意なスタッフを増やしたところ、作り置きの依頼が殺到したので正式なサービスにした」(和田幸子社長)。このほかCaSy(カジー、東京・千代田)などが手がけている。

 お手伝いさんを雇っているようでぜいたくなイメージがあるかもしれないが、総菜を買ったり、外食したりするのとさほど変わらない出費で済む場合もある。タスカジは3時間単位の利用で、料金はスタッフの経験や利用者の評価によって1時間当たり1500~2600円と幅がある。

 まず1回3時間の料金が4500~7800円かかる。実費負担の交通費を例えば1000円としよう。食材費は利用者によってまちまちで、記者の場合は3000円くらい。4人分の夕食1回分が1700~2360円でできる計算だ。ご飯や味噌汁は自分で作る必要があるが、残業もあるフルタイムの仕事と家事を両立するための「投資」と考えれば十分なリターンを得ている気がする。

 カジーは利用頻度によって料金が異なり、週1回なら1時間当たり2190円。交通費は一律700円なので3時間の利用で7270円になる。ベアーズは4時間以上でしか契約できないので交通費を含めると1回1万2100円かかるが、営業社員が利用者の要望を聞くために自宅を訪問するなどサポート体制を充実させている。

 作り置きを担当する訪問スタッフは各社とも、調理師や栄養士の資格を持っていたり、料理教室や飲食店で働いたりした経験がある人が多いようだ。

 ベアーズ、カジーは会社側がスタッフを選ぶ仕組みで、急な欠勤などがあっても代理のスタッフを手配してくれる。もし希望に合わなければ変更もできる。一方、タスカジは利用者がサイトでスタッフを検索して個人間で契約を結ぶため、キャンセルなどは当事者同士でやり取りする必要がある。

 食中毒が起こらないよう各社はそれぞれ、スタッフの手洗いなど衛生面に配慮しているようだ。記者はメニューごとに賞味の目安や保存方法をメールなどで教えてもらい、傷みやすいメニューを月曜か火曜に食べ、日持ちするものや冷凍したものを週後半に回している。

(岡田真知子)

[NIKKEIプラス1 2017年11月18日付]

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