働く力が湧く 「資本主義の父」の言葉
渋沢健著 「渋沢栄一 100の金言」
国内で1日に刊行される新刊書籍は約300冊にのぼる。書籍の洪水の中で、「読む価値がある本」は何か。書籍づくりの第一線に立つ日本経済新聞出版社の若手編集者が、同世代の20代リーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介するコラム「若手リーダーに贈る教科書」。今回の書籍は「渋沢栄一 100の金言」。江戸時代に生まれ、明治・大正・昭和時代を生きて「日本の資本主義の父」といわれた渋沢栄一が残した言葉を読み解き、働く意味や生き方、新しい時代を生き抜くヒントを示す。
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渋沢健氏
著者の渋沢健さんは、渋沢栄一の子孫で5代目(孫の孫)にあたります。1961年生まれで、87年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で経営学修士(MBA)を取得し、JPモルガンなどを経て2001年に独立。07年にコモンズ(現コモンズ投信)を創業し、会長を務めています。著書に「渋沢栄一 愛と勇気と資本主義」などがあります。
株式会社、日本に根付かせた偉人
渋沢栄一は明治維新の30年近く前、1840年(天保11年)に生まれました。27歳のとき、徳川慶喜の弟である徳川昭武と共に欧州諸国を見て回り、会社制度を学んだといいます。明治維新後は大蔵省の一員として新しい国づくりに深く関わり、民間に転じた後は、第一国立銀行の頭取を務めるなど、株式会社組織による企業の創設 ・育成に力を尽くしました。1931年に91歳で亡くなるまで、設立や経営にかかわった企業は約500社に上るともいわれ、キリンビール、東京ガス、帝国ホテルなど今に残る会社もたくさんあります。その栄一が残した言葉を現代の読者に通じるように訳しながら、解説しています。