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iPhone Xの販売でauが苦戦? 新料金プランの功罪 佐野正弘のモバイル最前線

2017/11/21

一方、NTTドコモやソフトバンクは、新iPhoneに関しても従来通りの料金プランが適用されることから、「月々サポート」「月月割」といった端末値引き施策もこれまで通り受けられる。加えてNTTドコモは「機種変更応援プログラムプラス」、ソフトバンクは「半額サポート for iPhone」と、auのアップグレードプログラムEX(a)に近い購入支援プログラムも展開。これらはいずれも機種変更時に端末こそ回収されるものの、auと異なり月額料金がかからないことからユーザー負担は比較的軽く、しかも値引きやポイント進呈などで大きな恩恵が受けられるため、高額なiPhoneを一層購入しやすくなる。そうした端末値引きの充実ぶりが、両キャリアのiPhone Xの販売増に拍車をかけたといえそうだ。

■端末の実質コストは倍以上

各キャリアにおけるiPhone X(64GB)の実質負担額。表中の価格は税込み

上の表に、iPhone X(64GB)を3キャリアで購入した場合の端末コストの例を示した。24カ月で分割払いし、1年たった13カ月で次の機種に機種変更したときに、端末のコストが実質的にいくらになるのかを計算したものだ。2万7000円のソフトバンク、3万6768円のNTTドコモと比べると7万3440円のauは倍以上。かなり高く感じられる。

ただ、auの新料金は月額の通信料は安くなる。それを加味するとどうなるか。各キャリアが共通して提供している、5分かけ放題の料金プランと20GBのデータ定額サービスをセットで契約した場合の料金を、下の表に示した。

各キャリアの通信料金と、端末負担額との合計コスト。表中の価格は税込み

12カ月の通信料はNTTドコモやソフトバンクと比べて2万円程度安くなる。端末の実質コストと合わせると、1~2割程度の差と、比率的にはだいぶ近づいた感がある。それでもNTTドコモで2万円近く、ソフトバンクでは3万円近くもの違いがある。なお、auは他社にないプランとして、月額3480円から利用できる「auピタットプラン」も提供している。この料金プランを選んで各種割引やキャンペーン施策を適用し、なおかつ通信料を月1GB未満に抑えた場合は、iPhone Xを最も安く利用できる。

では、今回iPhone Xを予約しなかったauユーザーは一体どうしているのだろうか。最近は番号ポータビリティーによる乗り換えでは、メリットが得にくくなっているため、キャリアを乗り換えてまでiPhone Xを購入する人が多いとは考えにくい。むしろ、安くなったiPhoneの旧機種を選ぶ人が増えたのではないかと筆者はみる。

実は田中社長は決算説明会で、iPhoneの販売に関して「昨年と比べると、今年は分散化傾向が進んでいる」と話している。通信料と端末価格を安く抑えるため、値段が安くなった旧機種に流れた人も増えているのではないだろうか。特にiPhone 7/7 PlusはiPhone 8/8 Plusとの機能差が大きくないことから、お得感が高いのは確かだろう。

auの新料金プランは、通信料を引き下げることでMVNOへの顧客流出を阻止する狙いが大きかったが、今回のiPhone X商戦では逆に、高額端末が買いづらくなるという新料金プランのデメリットが出てしまったのかもしれない。iPhoneを積極的に買い替える先進的なユーザーは、データ通信を積極的に利用してくれる優良顧客が多い。KDDIにはその優良顧客を逃さないための、新たな施策が求められることとなりそうだ。

佐野正弘
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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