iPhone Xの販売でauが苦戦? 新料金プランの功罪佐野正弘のモバイル最前線

11月1日に開催されたKDDIの決算説明会で、同社の田中孝司社長は、auにおけるiPhone Xの事前予約数が、iPhone 8/8 Plusの1.5倍に達すると話していた。だが一方で、iPhone XとiPhone 8/8 Plusを合わせた予約数は、前年の「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」の予約数とほぼ同じだという。iPhone Xの単価は従来機種より高いので、前年より売り上げはプラスになるだろうが、アップルの業績と比べると見劣りする。

一方、11月6日に実施されたソフトバンクグループの決算説明会で、ソフトバンク社長の宮内謙氏は、iPhone Xは「非常に順調な滑り出しで、iPhone 8/8 Plusの倍くらい予約がある」と話している。またiPhone 8/8 Plusも含めた予約数は、前年のiPhone 7/7 Plusを大きく上回っているという。

またNTTドコモに、iPhone Xの販売動向に関して確認したところ、iPhone Xの予約数はiPhone 8/8 Plusの約2倍とのこと。iPhone 8/8 PlusとiPhone Xを含めた予約数は、前年のiPhone 7/7 Plusを上回っているとの回答だった。

ちなみにNTTドコモ社長の吉沢和弘氏は、10月18日の新商品・サービス発表会で、iPhone 8/8 Plusの予約数が、前年(iPhone 7/7 Plus)の約7割だったと話している。そこで単純計算すると、iPhone Xだけで前年の1.4倍、3つの新機種を合わせると2倍以上の予約があったことになる。

いずれのキャリアもiPhone Xの販売が好調なのは確かだが、予約の比率で見る限りは、NTTドコモとソフトバンクに比べてKDDIは見劣りする。

「値引きなし」au新料金プランの弱みが露呈

auのiPhone X販売比率が低い理由は料金施策の違いにあると筆者はみる。auは17年7月に2つの新料金プラン「auピタットプラン」「auフラットプラン」を打ち出し、これら2つを主力のプランとしてユーザーへの浸透を図っている。従来のiPhoneは新料金プランの対象外だったが、新iPhoneの発売に合わせ、9月よりiPhoneも対象機種となっている。

そしてこれら2つの料金プランは、端末の値引きをしない代わりに、毎月の通信料を安くしている点に特徴がある。同様の料金プランとしてNTTドコモの「docomo with」があるが、docomo withは対象となる機種が限定されているのに対し、KDDIの新料金プランは全ての機種が対象となるため、適用するには10万円を超える高額なiPhone Xも、値引きなしで購入しなければならない。

それでは高額の端末が買いづらくなることから、auは月額390円を支払い、端末を48回の割賦で購入する代わりに、一定期間経過後に端末を買い替えると、残債の支払いが必要なくなる「アップグレードプログラムEX」と、買い替え頻度の高いiPhoneユーザーに向け、割賦期間を24カ月に短くした「アップグレードプログラムEX(a)」を提供している。

auの端末購入プログラムは、一定期間後の機種変更時に割賦残債の支払いが不要になるが、その代わりに端末が回収される仕組みであるほか、毎月390円を支払う必要がある

だがこれらはいずれも残債を支払う必要がなくなる代わりに端末が回収され、手元に残らない仕組みである。ユーザーからしてみればデメリットも大きい内容となっている。これまで契約期間の縛り以外、ほぼ無条件で端末代値引きの恩恵を受けてきた人たちにとって見れば「購入のハードルが上がった」と感じたことが、auで高額なiPhone Xを購入する人が伸び悩んだ要因になったと考えられる。

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