オリパラ

私のレガシー論

「成熟」五輪にハコモノ要らぬ 森トラスト会長の苦言 自然災害に強い街づくりの好機「財政規律にとらわれるな」

2018/2/7

森トラスト会長の森章氏は「適切な財政投資によって、経済成長率の3倍の税収伸びが見込める」と語る

 2020年の東京五輪・パラリンピックまで約2年。東京都内では競技施設やホテルなどの建設工事が急ピッチで進んでいるが、それらは東京の「都市力」を高めることにつながるのか。前回大会と同様に、日本の経済成長を促す起爆剤とするには何が必要か。不動産業界から日本経済の浮き沈みを長年見つめてきた森トラストの森章会長(81)に聞いた。

 ――東京五輪・パラリンピックをきっかけにして、東京はどんな街づくりを進めればよいのでしょうか。

 「新国立競技場などのスポーツ施設が増えたり、刷新されたりすることは経済的にはあまり意味がない。施設の周りに公園ができたり、住宅が建設されたり、周辺整備が面として進むことが大切だ。点と点を結ぶ交通インフラが整うなど街としての機能が充実していけば、東京の生産性も上がり、都市としての競争力が向上する」

 「前回の1964年の東京五輪では、新幹線や高速道路、それに住宅、オフィスなどインフラを集中的に整備した。一気に整備し過ぎたために、瞬間的に過剰感は出たが、日本が高度成長していく過程にあったことから五輪後しばらくすると、その過剰感は消えた。日本経済の成長力が一時的に過剰となった住宅やオフィスの余剰分を吸収してしまった」

 「だが、今、日本は高度成長の状況にはない。社会も経済も成熟してきたなかで開催する今回の東京五輪で、再びハコモノの数を増やしても意味はない。それよりも今ある道路や鉄道、住宅などを地震や火災に強いものに造り替えるなどの投資は意味が大きい。特に地盤などの状況から地震被害を予測する精度は以前に比べて格段に上がっている。自然災害に強い街づくりを進めるチャンスだ」

オリパラ新着記事

ALL CHANNEL