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恐竜絶滅の原因 小惑星の落ちた場所が悪かったせい?

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ナショナルジオグラフィック日本版

新たな研究により、古代の地球に小惑星が衝突する場所として、ユカタン半島はおそらく最悪の場所だったことが明らかになった。

今から6600万年前、現在のメキシコのチクシュルーブという港町の近くの海に、直径10キロほどの小惑星が衝突した。これにより恐竜の時代は唐突に終わりを告げ、ほとんどの恐竜を含む、地球上の全生物の約4分の3が絶滅した。

東北大学大学院理学研究科地学専攻の海保邦夫氏がこのほど発表した論文によると、宇宙から飛んできた小惑星が炭化水素(石油や天然ガスの主成分)を豊富に含む堆積岩層に衝突し、大気中に膨大な量の煤(すす)をまき散らした結果、地球が急激に寒冷化し、大量絶滅が起きたという。この衝突により、地球全体の平均気温は8~10℃、陸上の平均気温は10~16℃も下がったと推定している。

2017年11月9日に『Scientific Reports』に発表された論文で、研究チームは、これだけ大量の煤をまき散らせるような岩石層がある場所は地球表面の13%しかないと主張する。つまり、小惑星がほかの場所に落ちていたら、鳥類に進化したもの以外の恐竜も、絶滅していなかったかもしれないのだ。

NASAのジェット推進研究所にある地球近傍天体研究センターのポール・チョーダス氏は、「今回の論文は大きな天体が衝突しても大量絶滅が起こる可能性は高くないことを示していて、非常に面白いと思います」と言う。「私たちはしばしば、この衝突が恐竜にとってどんなに不運で、哺乳類のトップに立つ私たちにとってどんなに幸運であったかを語ります。今回、その運のほどが数字で示されたのです!」

大量の煤が空を覆った

研究では、小惑星の衝突により炭化水素を豊富に含む堆積岩が燃え、約15億トンの煤が大気中にまき散らされたと見積もっている。大気中の低いところを漂っていた煤はまもなく雨に洗い流されたが、約3億5000万トンは高層大気中を循環しつづけ、命の源である日光を遮ったと考えられる。(参考記事:「『青空は年に数回しか…』 中国・大気汚染と闘う街」)

海保氏は、白亜紀の終わりに炭化水素を含む堆積岩が多く存在していたと思われる地域を再現した地図を使って見積もりを行った。こうした地域は海岸付近に多く、今日、石油や天然ガスが見つかる地域とおおむね一致している。

海保氏は以前の研究で、世界中の岩石層に小惑星衝突による煤が含まれているかどうかを調べている。彼は、チクシュルーブ・クレーターに比較的近いハイチで採集したサンプル中の煤が、何千kmも離れたスペインで採集したサンプル中の煤とよく似ていることに気づいた。

「煤どうしが似ているのは、同じ場所から来たからです。つまり、小惑星が衝突したチクシュルーブの岩石に由来しているのです」と海保氏は言う。「衝突地点の堆積岩に含まれていた炭化水素の量が、陸と海の温度低下の程度を決めたのかもしれません」

この時代の多くの場所で、化石記録中に煤が見られる。この理由として、これまでは小惑星の衝突により飛び散った高温の岩石が森林火災を引き起こしたせいとする説明が有力だった。

海保氏の今回の研究は、従来の説明に異議を唱えるものであり、森林火災だけでは地球全体の温度を下げるほどの煤は発生しないとしている。彼はまた、小惑星の衝突によって生じた煤は均等には分布しなかったと考えられ、このことは、北半球の方が寒冷化が厳しく、南半球の方が回復が早かったことを示すデータともよく合っていると主張する。

硫黄が原因である可能性も

しかし、1つ問題がある。最近、チクシュルーブ・クレーターの掘削調査が行われたが、炭化水素はあまり見つからなかったのだ。

チクシュルーブ・クレーターの海底部分の掘削プロジェクトに参加した米テキサス大学オースティン校の地質学者ショーン・ギューリック氏は、小惑星の衝突直後の寒冷化は、煤ではなく蒸発した硫黄が原因である可能性が高いと指摘する。

10月30日に『Geophysical Resesarch Letters』に論文を発表したジョアンナ・モーガン氏は、小惑星の衝突により約3250億トンの硫黄が放出されたと推測している。これは、地球を一時的に寒冷化させるのに十分な量だが、実際にはもっと多かった可能性がある。

ギューリック氏は、チクシュルーブから650キロ離れたハイチで採集された煤が、森林火災によって堆積したものである可能性があり、近く発表されるチクシュルーブの掘削コアの分析結果が、この部分の議論を明確にするだろうと言う。

そんな彼も、小惑星が衝突した場所が悪かったという点では海保氏と同じ意見だ。大きな小惑星が衝突した場所はほかにもあり、米国のチェサピーク湾やドイツのバイエルン州西部に痕跡がある。しかし、化石記録を見るかぎり、これらの小惑星は大量絶滅は引き起こさなかった。理由はおそらく、衝突地点の岩石の組成にある。

ギューリック氏は、「チクシュルーブに衝突した小惑星と同じ大きさの小惑星が衝突したときに、同じ規模の変化を大気に生じさせられるような地域は、地球上にはあまりありません」と言う。

犯人が硫黄であろうと煤であろうと、海保氏の研究は、古代の地球に起きた変化をシミュレーションする気候モデルの評価に役立つ可能性がある。

「それぞれのモデルで硫黄や煤や二酸化炭素が大量に放出された場合にどうなるかを見ていくことで、大気中の化学反応に関する問題を検証することができます」とギューリック氏は言う。「今日の気候変動の影響を考える上でも非常に重要です」

(文 Michelle Z. Donahue、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年11月10日付]

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