学生200人に求人が殺到 秋田・国際教養大はなぜ人気国際教養大学の鈴木典比古学長

世界が競合になった今、大学が生き残るためにどんなプログラムを用意しなければならないのか。鈴木学長は、差別化のための1つの解として、「生徒も教員も互いに議論をして高められる双方向の授業」だと考える。人口が減少し、オンライン授業も増える今、そもそも大教室で授業するやり方は通用しなくなるためだ。

三菱商事出身で国際教養大の特任教授を務めた海城中学・高校校長の柴田澄雄氏は、「AIUは教員と学生の関係が密だ。1学年の定員が320人の海城よりもはるかに規模の小さな大学ですからね。グローバル経済をテーマに学生らと侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をし、私自身も磨いてもらった」と振り返る。

説明会希望なら、まず会ってから

国際教養大は「グローバル人材」を求める企業からの評価も高い。主な就職先にはトヨタ自動車や三菱マテリアル、伊藤忠商事など人気企業がずらりと並ぶ。今年も同大学の就職課には、200人ほどの学生を求め、2018年卒では、のべ180社が会社説明会におとずれた。キャリア開発センター長の三栗谷俊明氏は、「学内説明会を実施したい、という企業には、かならず一度来校してもらって学内を見てもらっている。どんな学生がいるのかを知った上でないと、互いに不幸になる」と話す。本当にグローバル人材を求めている、と判断できなければ、人気企業でも説明会の実施を断るケースもあるという。

友田奏子さんは、2011年に同校を卒業後、「日本のホスピタリティーを世界に発信したい」と、米ホテル大手のヒルトンに入社。1年の留学先では、ハワイ大学でホテルビジネスを学んだ。ヒルトンは、幹部候補新卒採用(RJET)という、10~15年後の総支配人を育てるマネジメント人材育成プログラムを導入している。

「一般の社員より4倍のハードな経験をする」と採用サイトにうたわれる厳しい制度だが、友田さんは自分でこの採用制度を見つけ入社した。今、早くも課長だ。「自分より年上の同僚も多いが、やりがいがある。ホテルを通して、国内外のお客様に日本や地域の魅力を伝えたい」。友田さんは笑顔を見せる。

秋田で起業した人もいる。プロバスケットボールチーム、秋田ノーザンハピネッツを設立した水野勇気最高経営責任者(CEO)は国際教養大の1期生だ。

鈴木学長は、学生たちに「30年後に世界を引っ張れる複眼力を身につけてほしい」と話す。留学を経験し、幅広い教養に触れた学生たちは日本的教育だけを受けた同世代との価値観に戸惑うこともある。しかし、この壁は、これからグローバルに向かう日本の若手がいずれ向き合わなければならないものだ。「グローバル・エリート」を求める産業界の、国際教養大に対する熱い視線は続いている。

(松本千恵)

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