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学生200人に求人が殺到 秋田・国際教養大はなぜ人気 国際教養大学の鈴木典比古学長

2017/11/19

グローバル・エリートを育てるための教育として注目度が高まるリベラルアーツ。しかし、この教育には、経済や文学といった決まった専攻が入学当初に決まっているわけではない。鈴木学長は、「自分が何をしたいのか、何に向いているのか、自己と徹底的に向き合って個を確立する、それがリベラルアーツです」という。深い学びを得たい人は大学院に進学する。実際、同大学を出た学生たちのなかには、オックスフォード大学大学院やパリ政治学院など、世界の名門大の大学院に飛び立った人も少なくない。

■すべて英語でも、帰国子女は多くない

鈴木学長は「個の確立」がリベラルアーツだと話す

国際教養大の授業は、基本的に英語での「ディベート」だ。双方向での授業を重視し、仮にテストで満点をとったとしても、発言がないなど、クラスへの参加度が低ければ好成績はとれない。入学試験は、推薦入試もふくめて16種類と多様だが、もっとも多いのは通常のセンター試験を受けて合格してきた、いわば「日本型」教育の生徒だ。実は帰国子女は多くない。英語での突然のディベートに、多くの学生はかなり戸惑うという。当然、予習して授業にのぞまなければついていけない。

教員の負荷も大きい。ノートをとって暗記し、試験を受けて成績をつける「流れ作業」ではない。「理論はこうだが、自分の考えはこうだ、君たちはどうか」と互いに意見をかわすため、入念な準備に時間がかかる。

また、学生たちは教員に厳しい目を向ける。学生による授業評価が行われ、国際教養大では先生の業績評価の一部になっている。これは、米国の大学教員のしくみに近いものだ。鈴木学長によると、北米では、多くの大学教員は、教育と研究、学部の貢献の3つの軸で毎年学部長から評価を受ける。

米国の学生は、奨学金をとったり、ローンを組んだりして、自分で学費をまかなうケースも多い。そのため、授業の質への評価の目は厳しい。米イリノイ大やワシントン州立大学で教べんをとってきた鈴木氏。自身も、教員になったばかりのころ、「こんなつまらない授業にいくらも払えない、きちんとしてほしい」と書かれたことがあるという。

教育の質をあげるために、教員も学生も互いに高め合う授業にしなければグローバル競争に負けてしまう――。海外で教えてきた鈴木学長ならではの強い問題意識だ。

■生徒取り合い 敵はオンライン

多国籍企業の経営を研究する経済学者でもある鈴木学長は、国境を超えた大学間の「生徒取り合い」競争も指摘する。

「昔からあるグローバル人材の育成の主流は、原材料である学生を海外で加工するしくみだ。その後、テンプル大学など一部の大学が実際に日本にやってきて開校し、国内で生産していた。今の脅威は、もう国境ではない。オンラインだ」という。

米スタンフォード大やハーバード大など、名だたる名門大学がオンラインで世界中に授業を配信するようになった。オンラインで授業を受ける学生は2100万人とも推定され、競争相手はもはや国内ではない。いいかえれば、プログラムさえよければ、世界から生徒を集めることも可能になる。

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