あと1カ月余りで2017年も終わり。さまざまな分野での今年の「ナンバーワン」が語られる時期だが、働く女性の間で「今年ナンバーワンの作品」と絶賛されている映画がある。米映画『ドリーム』(20世紀フォックス映画、セオドア・メルフィ監督)だ。
まだ見ていない人のためにストーリーをご紹介しよう――。
東西冷戦下、米国とソ連が熾烈(しれつ)な宇宙開発競争を繰り広げていた1960年代初頭、NASAに勤めていた実在の3人の黒人の女性数学者がこの映画の主人公だ。当時NASAには、ロケットの打ち上げに不可欠な軌道計算をするために、「人間コンピューター」と呼ばれた、頭脳明晰(めいせき)な黒人女性グループが雇用されていた。
トイレも図書館もホワイト(白人)とカラード(有色人種)に分けられていた人種差別が色濃く残る時代、黒人女性が働くには大きな試練と困難があったが、彼女たちは卓越した知性と、たゆまぬ努力、不屈の精神で、新たな時代を切り開き、有人宇宙飛行などNASAの偉業に大きな貢献をしていった――。
米国では16年暮れに公開されるやいなや、それまで3週連続ナンバーワンだった『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』を退け、11週連続トップテン入りの大ヒットとなった。日本での公開は17年9月29日。米国よりかなり遅れての公開だったが、11月9日時点の興行収入は4億円。動員数は32万人を超えた。
「冷戦下の60年代の米国が舞台、人種差別の問題など、この映画がそのまま日本で受け入れられるのかどうか議論があり、上映までに時間がかかりました。しかし、公開前から『この映画を応援したい』『サポートしたい』という“応援団”が多数出てきました。また、公開後はありえないほどの反響が起こっています」(20世紀フォックス映画営業本部シニアマネージャー平山義成さん)


「ものすごく元気をもらった」「これまでで一番感激した」などSNSで数多くの称賛の投稿があるばかりでなく、学校に勤める英語教師の女性からは、「外国でこの映画を見て感激し、原作本を英語の授業のテキストとして使っています。日本公開をしていただきありがとうございます」という直筆の手紙が届いたという。「そんな映画、他にはありません」と平山さんは言う。