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月80万円の散財家計 逆転の発想で老後資金づくり ゴールから逆算する家計改善メソッド(1)

2017/12/7

 とはいえ、このままだと老後を待たずして家計が破綻するのは、火を見るより明らかでした。

■削るよりも「いくらためるか」からスタート

 Aさん夫妻の支出を整理してみると、食費、被服費、趣味娯楽費(旅行)が比較的多く、同水準の収入の家計と比較しても突出していることが分かります。

図2 同程度の収入水準の平均的家計と比較して趣味娯楽費が突出。住居費、食費、服飾費なども多い

 この生活を続けていくとどうなるか。まずは現状の家計でシミュレーションしてみると、Aさんが51歳の時点で資金がショートし、家計が破綻してしまうという結果になりました。Aさん夫妻は都内にマンションを購入し、住宅ローン控除を受けています。Aさんが41歳の年に住宅ローン控除が終わり、翌年からは支出が収入を超えるようになります。その結果、10年ほどで蓄えを食いつぶしてしまうのです。

図2 Aさん夫妻の生涯資産シミュレーション結果。貯蓄が少ない上に支出が多く、51歳で赤字に転落する。なお42歳時にマンション(自己所有)を300万円かけてリフォームするとした

 この結果にAさん夫妻は驚いたようです。「どうすればいいでしょうか?」というAさん夫妻。そこで提案したのが「逆転の発想」による家計立て直しのアイデアです。

 まずは老後に必要となるお金を見積もり、そこから貯蓄すべきお金を逆算。老後資金の貯蓄には、収入から一定金額をあらかじめ取り分けておいて、残ったお金で生活する「先取り貯蓄」を使います。その後、残ったお金で生活できるように、支出を調整しましょうと提案しました。

 この老後に必要なお金は、どのようなリタイア生活を想定するかで大きく変わります。Aさん夫妻に聞いてみると、「ぜいたくするつもりはないけど……」と前置きしつつ、「年に2回くらいは旅行できる生活がしたい」「都心でなくともかまわないが、便利なところに住みたい」など、いわゆる「ゆとりある生活」を想定しているようです。そこで、金額にして月45万円ほど、年間550万円が必要と仮定しました。ちなみに、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2016年)によれば、「ゆとりある老後生活費」は月額34万9000円です。Aさん夫妻の想定支出は、これと比べてもかなり多い金額です。

 他方、10歳年上の妻のBさんはAさんよりも早く定年を迎えます。Bさんが65歳まで働くとしても、それ以降は収入が大きく減ります。つまり、Aさんが56歳の時点で夫婦の「老後」は始まるといえるのです。

 これを考慮し、Aさんが56歳から90歳までに必要な金額を計算。総額を約2億2428万円と見積もりました(Aさんも65歳まで働き続けるという想定です)。

 一方で、定年後の収入を計算してみますと、受け取れる年金は「ダブル厚生年金」世帯なので、夫婦で月に35万円ほどと潤沢です。Aさんの56~65歳までの収入と、90歳までに受け取れる年金の総額は約1億8455万円なので、差し引き不足分の3974万円を、Aさんが55歳までの23年間でためればよいことになります。そこで、今回の家計改善の「ゴール」は、「年間173万円(月に14万4000円)をためること」と設定しました。

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