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住宅ローンの借り換え、諸費用に注意 金利交渉も一手 住宅ローンの選び方(中)

2017/11/19

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 休日の昼下がり。良男が散歩から帰宅すると、息子の満がダイニングテーブルでスマートフォン(スマホ)を熱心に操作しています。かたわらで幸子が住宅ローンの借り換えを特集した雑誌をめくりながら、満に色々とアドバイスをしています。

筧幸子(かけい・さちこ、48=上) 筧良男(かけい・よしお、52=中) 筧満(かけい・みつる、15) 

筧良男 住宅ローンの研究は終わったんじゃないのか。

筧満 この際だから借り換えについても調べようと思って。最近はパソコンやスマホのアプリで簡単に借り換えの試算ができるようになっているんだ。

良男 そういえば職場の同僚も最近、借り換えをして総返済額を300万円減らせたそうだ。どんな人なら借り換えのメリットがあるんだろう?

筧幸子 例えば10年前に返済期間30年、年2.7%の固定金利で3000万円の住宅ローンを借りた人は、現在の残高は約2300万円。残り20年を住宅金融支援機構の「フラット20」に借り換えると金利は年1.3%になるので、月々の返済額は約1万5000円減って総返済額は約366万円減るわ。

良男 ほう、これは検討してみる価値はあるね。

 以前は(1)借り換え前と後の金利差が1%以上(2)残りの返済期間が10年以上(3)ローン残高が1000万円以上――の3つのうち、1つでも当てはまればメリットがあるといわれていたんだ。住宅ローンのコンサルタント会社のホームローンドクター(東京・中央)代表の淡河範明さんは「金利差が1%なくても返済期間が長ければ、借り換えのメリットがある場合もあるので検討してみるといい」と話しているよ。

幸子 変動金利で借りていれば、10年ぐらい前の金利は年1.8%ぐらいだったの。仮に1.8%として同じように年1.3%の固定金利に借り換えると、月々の返済額は約5000円減り、総返済額も約127万円減るのよ。

良男 今の超低金利の恩恵を受けるには固定金利への借り換えがベストなのかな。

幸子 残りのローン返済期間や家庭の状況によるわ。借り換えの金利も新規の住宅ローンと同じように大きく分けて3タイプあるの。固定金利、固定期間選択型、変動金利よ。固定への借り換えに向くのは、ローンの残存期間が長く毎月の返済額を定額にして安心したい人ね。逆にローンの残存期間が短く収入に比較的余裕がある家庭なら、低金利の恩恵を享受できる変動に借り換える手もあるわ。

 固定期間選択型に借り換えるメリットはあるの?

幸子 例えば残存期間が12~13年なら、固定期間10年を選び、期間終了時点でもう一度考えるという方法があるわ。固定期間が終わっても変動金利になるわけではなく、再度、固定金利を選べるの。その時点で金利が上がっていてもローン残高は減っているので月々の返済額はそれほど増えないし、思い切って繰り上げ返済する手もあるわ。

良男 そういえば職場の同僚は「借り換えには結構、費用がかかる」と言っていたな。

 借り換えのメリットを計算するには諸費用も考慮に入れないといけないんだ。さっき変動から固定への借り換えで総返済額が約127万円減ると試算したけど、諸費用が約55万円かかるから実際には約72万円しか減らないことになるね。

幸子 諸費用は主に事務手数料、保証料、司法書士費用、団体信用生命保険(団信)料。事務手数料が1万800~3万2400円(税込み)の場合は、保証料が別途必要で融資額の1~2%程度かかるの。保証料が無料という金融機関もあるんだけど、その場合は融資額の1~2%の事務手数料がかかるわ。前者の条件で保証料率1.5%で仮に2300万円を借り換えると、事務手数料と保証料を合わせて35万~37万円になるの。司法書士費用で大きなものは登録免許税で、融資額の0.4%かかるわ。2300万円なら9万2000円。違いがあるとすると司法書士への報酬かしら。

 団信の保険料も最近は借り換え金利に上乗せするタイプが多いよ。特にがん、脳卒中、心筋梗塞の3大疾病の保障をつけた団信はその傾向にあるんだ。

幸子 50代で借り換える場合は3大疾病保障といった手厚い団信に入れないことがあるわ。それまでの住宅ローンの団信でその保障があっても、借り換えの団信では保障が付かないので、心配な人は別途がん保険などに加入しなければならないの。持病があったりすると団信に入れず、借り換え自体ができなくなる例もあるそうよ。

良男 諸費用を抑えることはできないのかい?

幸子 他の金融機関で借り換えるのではなく、現在の借入先と交渉して金利を下げてもらう方法があるわ。交渉に応じてくれるかどうかは金融機関の判断だし、交渉できたとしても借り換え金利ほど低くならないけど、変更にかかる手数料は多くは1万800円(税込み)のみで、諸費用はかからないの。

良男 ひとくちに借り換えといっても選択肢は多いな。

幸子 自分で試算するのが大変だという人は専門のコンサルタント会社に相談するという方法もあるわ。複数の金融機関に借り換えの審査を依頼するなど有利な条件を引き出してくれるの。ただ、借り換えの手続きが終わると報酬を求められるので、説明をよく聞いたうえで利用するようにしましょうね。

■返済期間短縮でリスク回避
 ファイナンシャルプランナー 畠中雅子さん
 住宅ローンの借り換えでは毎月の返済額や総返済額がどのくらい減るのかだけを見ている人がいますが、返済期間を短縮することの方が重要です。利息を減らせますし、その間に病気になったり、子供の教育費がかかったり、親の介護が始まったりといった、家計を圧迫するリスクに見舞われる機会が減ります。万一、家計が厳しくなったら、金融機関に相談すれば少なくとも短縮した年数分は返済期間を延長できて毎月の返済額を減らせます。
 表面の借り換え金利だけでなく、金融機関のサービス面も比べましょう。例えばイオン銀行では、住宅ローン利用者が専用のクレジットカードを利用してイオングループで買い物をすればいつでも5%割引になります。ATMの時間外手数料や他行への振込手数料を無料にする金融機関もあります。
(聞き手は川鍋直彦)

[日本経済新聞夕刊2017年11月15日付]

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