ゆったり感や上品さで選ぶ 「10年愛せる」アウター
洒落者たちのお気に入り
コート、ジャケットなど一番外側に着るアウターには、長く着られる1着をぜひとも持ちたい。毎年流行が変わっても、ワードローブの「一軍」として変わらず生き続けるアウターとはどんなものか? ウェルドレッサー(着こなし上手)が長く愛用し続ける上着を拝見しつつ、「10年愛せる」理由を探った。
10年アウターは「普遍の完成度」
【10年愛用】 スティレラティーノのチェスターコート
ビームスF ディレクター 西口周平さん
「10年ほど前に初めてピッティに行ったとき、中村(ビームス クリエイティブ ディレクター 中村達也氏)が着ているのを見て、『なんてカッコいいんだ!』と憧れて買ったのがこのコートです。それから毎年、冬には必ず登板し続けています。スーツやVゾーンなど、中の服の合わせがトレンドに応じて変わっても違和感なく着られて、冠婚葬祭でも恥ずかしくない。それは、クラシックで普遍的な形があってこそだと思います。ダイナミックなパターンの存在感と、吸い付くような着心地も、このアウターにしかない完成度。だから消耗品ではなく、私のワードローブにこれからもずっと生き続けるんです」
10年アウターは「モノの品格」がある
【13年愛用】 グローバーオールのダッフルコート
イラストレーター ソリマチアキラさん
「13年前ほどに本格的なダッフルが欲しくなり、キャメルの色みやトグルの麻縄が、英国軍がかつて着用していた際のダッフルのイメージと近い、こちらの『モンティ』を購入しました。トレンドにより形が変わるものより、モノとして完成されていたり、誠実にアイテムの基本の形を守っていたりするものに惹かれます。そういう服は時を経ても古臭くなく、モノとしての品格を常に感じさせてくれます。長年愛用したくなるのはやはりそういったもの。いつ着ても普遍的なかっこよさを備えていて、今の着こなしと合わせてもうまく上品に収まってくれますね」
10年アウターは「アンダーステイトメント」だ
【7年愛用】 グレンフェルのステンカラーコート
ユニオンワークス代表 中川一康さん
「実は昔からコートはたくさん持っていたのですが、7年ほど前に一度ほとんど処分してしまったんです。歳を重ねて今風のフィットな着こなしをしなくなったという理由がありますが、それ以来購入するコートはすべてクラシックなゆったりしたフィット感、そしてごく控えめでシンプルなデザインのものが多いですね。若いうちはどうしても流行を感じるデザインの服に手を出しがちですが、一定の年齢になると肩の力が抜け、そのような味つけがされていない服の魅力に気づきます。そんな大人の余裕を感じさせる服なら年を経ても長く着られますよ」
10年アウターは「英国の誇り」だ
【5年愛用】 バブアーのオイルドジャケット
「Anglo-Italian」共同設立者 ジェイク・グランサムさん
「ロンドンで育った私にとって、バブアーは最も愛着のあるアウターです。タフで、実用的で、アンダーステイトメントがある。英国文化を象徴するアウターです。クロゼットいっぱいのバブアーを持っていますが、中でもこのヴィンテージ『ビューフォート』は思い入れのある一着。私が香港のセレクトショップ『アーモリー』に参加していたとき、当地で買ったものです。これを着ると、当時のホームのことを思い出しますね。今日のように、あえてテーラードの服と合わせるのが私の好み。1980年代的ロンドナースタイルです」
撮影/長尾真志、村上 健 スタイリング/武内雅英(CODE) ヘアメイク/MASAYUKI(The VOICE) 撮影協力/バックグラウンズ ファクトリー
[MEN'S EX 2017年12月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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