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「長時間労働の会社に転職してはいけない」本当の理由 リクルートワークス研究所副所長 中尾隆一郎

2017/11/24

加えて、この3つの分類の人たちが、就職先を選ぶ際に、「勤務時間を選べることが決め手になったかどうか」も聞いています。「あてはまる」と答えた人は、(A)8.8%、(B)22.1%、(C)24.6%となり、就業に積極的でない(C)の人たちは、就業に前向きな(A)の人たちの約3倍も、勤務時間を選べる点を重視していることが分かります。この傾向は、今後、高齢化が進む中で、高まることはあっても低くなることは考えにくいです。

働く意欲が高くない人の方が圧倒的に多い、さらに、その人たちは働く時間を選択できることを重視している、という点を踏まえると、長時間労働を放置している企業の採用競争力は低下していくといえます。仮に採用できたとしても、定着せず、採用難・人手不足のスパイラルから抜け出せなくなるでしょう。

■長時間労働がもたらす欠勤の増加、生産性の低下

長時間労働とストレスには正の相関があります。そして、ストレスが高まると、心身に不調をきたし、会社を欠勤する・休むなど、アブセンティーズムが起こります。このアブセンティーズム自体も当然、問題ですが、同じくらい怖いのは、出勤しているのにもかかわらず、何らかの事情で生産性が低下しているプレゼンティーズムが起こることです。出勤しているので勤怠データ上は問題が把握できません。しかし、意欲低下やミスの多発など、生産性が下がった状態なのです。

注意が必要なのは、このプレゼンティーズムは、こうした従業員のすぐそばにいる人にしかわからないということです。人事部門など第三者にはその状態が把握できないので、専門的な対策もできず、知らず知らずのうちに組織の生産性が大きく下がってしまいます。この意味では、勤怠データなどによって可視化できるアブセンティーズムよりも、見えにくいプレゼンティーズムの方が問題は大きいかもしれません。

いずれにしても、長時間労働は、アブセンティーズム、プレゼンティーズムの両方を引き起こすきっかけとなっていることが多く、従業員の心身の健康や組織の生産性を著しく下げる要因となるのです。

■長時間労働は、イノベーションを阻害する

「人材マネジメント調査2015」(リクルートワークス研究所)の結果に基づく分析によると、イノベーションの創出は、ダイバーシティー(多様性)&インクルージョン(一体性)と、プロフェッショナル人材育成という2つの要素と相関があることが分かりました。つまり、ダイバーシティー&インクルージョンが進んでいて、様々な人が、その人らしく業務に取り組み、さらに専門性が発揮できる組織になることで、イノベーションが起きやすくなるのです。

また、ダイバーシティー&インクルージョンの実現には、働き方改革などによる労働時間の縮減が有効であることも分かりました。長時間労働を前提にした働き方では、様々な条件や制約のある人が、その人らしく労働参加することは実現できないというわけです。

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