週末レシピ うまみ濃厚な塩きのこ、あと一品の救世主
時間が経つのは早いもので、季節は冬を迎えようとしている。このサイトをご覧の食いしん坊のみなさんに、声を大にして主張したい。
冬のおいしい食べ物の代表格といえば、きのこだ。,
「いやいや、ほかにも色々あるでしょ!」と言う御仁もいるかもしれないが、私はきのこが大好きなので、独断と偏見で、誰がなんと言おうと、きのこなのである。
うまみも濃く、低カロリーで食物繊維もたっぷりなきのこは、おいしいものは食べたいが健康も気になるグルメな人々の正義の味方なのだ。
最近では種類も豊富になってきたきのこを、焼いたり、煮たり、炒めたり、揚げたり、蒸したり。ありとあらゆる調理法で楽しむのだが、たくさん種類が食べたいがばかりに、どうしても、ちょっとずつ余る。そう、料理に使うには物足りず、でも捨てるのももったいないくらい、ちょっとずつ。
そんなちょっとずつ余ったきのこを利用して作るのが、今回ご紹介する「塩きのこ」なのだ。
塩きのこってなんぞや?と思った気の早いそこのあなた。ぜひこのまま読み進めてみてほしい。
この「塩きのこ」こそ、「あと一品なにか欲しいな」「ちょっと味が物足りない」と思った時に素晴らしい力を発揮してくれる、食卓の救世主なのである。
【材料】 しいたけ、しめじ、エリンギ、えのき、まいたけ などお好みのきのこ…300グラム程度 / 塩…9グラム(塩にもよるが、だいたい小さじ2杯弱) *塩はきのこの重量の3%程度が目安
まずは、きのこの下準備から。,
一見美しく見えるきのこも、ひだの間にゴミが挟まっていたりするので、汚れをとってあげる必要がある。ここで気を付けてほしいのは、水で洗うのは厳禁ということだ。水で洗ってしまうと、香りやうまみが抜け落ちてしまう。軽く濡らしたキッチンペーパー等で軽くほこりを拭き取るくらいのつもりで、優しくなでてあげてほしい。
どうしても水で洗いたい!という人は、濃度2%程度の塩水を作って、ささっと洗うくらいならば、影響も少なくて済む。
きのこの石づきをとって、ひたすらほぐす。いろんな食感があったほうが楽しいので、えのきは短くせずにそのままだ。そして、鍋に湯を沸かして、さっとゆがく。
ゆがいたきのこは、ザルにあげてしっかり水気を切る。ここで水分が残っていると、保存性が損なわれるので、しっかり切るのが重要だ。
熱湯消毒した瓶に、しっかり水気を切ったきのこを入れて、塩をふる。
塩は、結晶の大きさや水分量によって同じ小さじ1杯でもグラム数が異なるので、できればしっかりと「きのこ(生の状態)の重量の3%分」を計量してほしい。
蓋をしたら、瓶を上下左右に振って、塩を全体に行き渡らせる。
最後に、瓶の底のほうにきのこが集まるように振ったら、もうほぼ完成。あとは一晩冷蔵庫の中で寝かせるだけだ。
常温で1時間ほど置いておくと、じわっときのこから水分が吸い出される。
この水分には、きのこの風味やうまみが閉じ込められているので、捨てないで料理にそのまま活用する。
粗熱がとれたら、冷蔵庫の中で一晩寝かせる。
完成した塩きのこは、塩の効果でうまみがたっぷり。
しいたけはとろとろとした食感で、しめじやまいたけはプリップリだ。えのきはまるでおいしい麺のようにつるつると口の中に入ってくる。
この食感のハーモニーも塩きのこの楽しみの一つなので、ぜひ、複数の種類のきのこを合わせて作ってみてほしい。
もちろん、そのままつまみとしても食べるのもよし。
それ以外にも、オムレツに入れたり、味噌汁に入れたり、あんかけのように料理にかけたり、具材にもなるし、ソースにもなる。
そう、この塩きのこが冷蔵庫に入っていれば「あとちょっとなにか」という時に、非常に便利なのである。最長で約1週間日持ちするので、週末に仕込んでおけば平日は毎日楽しむことができる。
ちなみに、冷凍保存もできるので、思い切って大量に作ってしまうのもおすすめだ。
冷凍保存する時は、ジップロックに入れてできるだけ空気を抜いて、平らにして冷凍すると、そのあと使いやすい。
さあ、冷蔵庫の中のきのこを総ざらいして、さっそく作ってみよう。
(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)
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