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年末調整で損しない! 知っておくべきポイントを解説 いまさら聞けない大人のマネーレッスン

2017/11/16

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Q. 会社から年末調整の書類が配られました。期限内に提出するつもりですが、出し忘れたらどうなるのでしょうか。また、今年からiDeCo(個人型確定拠出年金)を始めたのですが、何か関係がありますか?

■毎月支払う税金、実は概算の額

こんにちは。経済エッセイストの井戸美枝です。

早いものでもう11月半ば。今年も残すところあとわずかになりました。年末調整といえば、会社の経理担当の方にとっては年末の一大イベントです。

なぜ年末調整が必要かというと、毎月の給料から天引きされている所得税は、実は仮の税額だからです。

例えば、ボーナスは5カ月分、給料は1年間を通して変動がないといった想定で計算され、天引きされています。配偶者控除や生命保険料控除のような所得控除も反映されていません。そこで、年末に本来の所得を確定して納税額を計算し直し、天引きした分との差額を還付または徴収します。これが年末調整です。

ただし、12月末までに会社を辞める人や、年間の給与総額が2000万円を超える人は対象外です。自分で確定申告をして精算します。

質問をくださった方は、iDeCoに加入しているとのこと。iDeCoの掛け金は全額が所得控除できますので、ずばり年末調整は大いに関係があります。会社からもらった書類に、iDeCoの掛け金を記入して、所得控除しましょう。

■年末調整で可能な所得控除は11種類

所得から控除できるものには「保険料控除」「配偶者控除」「扶養控除」など14種類あります。このうち、11種類が年末調整で控除できます。

同じ年収の人でも、扶養家族がいる、子どもがいて教育費がかかる、医療費を多く支払っている……などの理由で、手元に残るお金はそれぞれ異なります。単純に年収だけで税額を決めるのは、難しいといえますね。所得控除は、こうした必要な出費には課税をせず、所得から差し引いてから税額を決めよう、というものです。

年末調整では、14種類ある所得控除のうち11種類に関して、会社が所得控除の申請をしてくれます。その際、従業員の家族構成や保険加入の有無……といった情報を会社側は知り得ませんので、年末調整の書類に記入をして提出します。

■提出する書類は2種類

記入する書類は、「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」と「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の2種類があります。

ここでは「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」を見てみましょう。

この申告書では、生命保険・地震保険に加入している人、iDeCoなど確定拠出年金に加入している人、配偶者の年間給与所得が38万円超76万円未満の人、が主に関係します。

保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書(見本)

自分と関係のないところは記入する必要はありませんので、読み飛ばしてくださいね。

(1)は、生命保険料控除です。

生命保険料を支払っている人は、最大4万~5万円を控除できます(加入している保険や契約した時期によって異なります)。

保険会社から送付される「保険料控除証明書」で、自分が加入している保険が「一般の生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」のどの区分にあたるかを確認します。今年1月1日から直近までに支払った金額が記載されていますが、申告書には「年末まで支払ったら」の金額を記入します(解約する予定であればそれまでの金額)。記入したら、計算式1と2を見ながら、生命保険料控除額を計算しましょう。

なお、この「保険料控除証明書」は、申告書と一緒に会社に提出します。

(2)は、地震保険料控除です。こちらも保険会社から「保険料控除証明書」が送付されているはずです。証明書を確認して、申告書に金額などを記入しましょう。地震保険の保険料は最大5万円まで控除できます。上と同様に「保険料控除証明書」は会社に提出します。

(3)は、配偶者特別控除です。

配偶者の年間の合計所得金額が38万円超76万円未満であれば、「配偶者特別控除」の対象です。配偶者の所得によって変わりますが、3万~38万円が控除できます。

配偶者の年間所得が38万円以下の場合は「配偶者控除」となり、もうひとつの申告書(「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」)で申告します。

ただし、2018年以降、税制改正によって「配偶者特別控除」「配偶者控除」が変わります。年末調整の書類の様式も変更される予定となっていますので、来年の年末調整の際は注意してくださいね。

(4)は、社会保険料控除です。給料から天引きされている社会保険料は記入する必要はありません。それ以外で、自分と生計を一にする配偶者、そのほかの扶養親族の国民年金や健康保険料を支払っていれば、その金額を記入します。こちらは、支払った保険料の全額が所得控除の対象となります。

(5)は、小規模企業共済等掛金控除です。今年から、国民のほぼ全員が加入できるようになったiDeCo。加入された方も多いのではないでしょうか。

iDeCoに加入している方は、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送られてきます。記載された掛け金を確認したうえで、「個人型又は企業型年金加入者掛金」の欄にその金額を記入しましょう。「小規模企業共済等掛金払込証明書」は、会社に提出します。

■年末調整で控除できないものもある

一方、年末調整で処理できない所得控除に「雑損控除」「医療費控除」「寄付金控除」があります。

雑損控除は、災害や盗難、横領などで家や家財、現金などが被害に遭ったときに受けられる控除です(詐欺の被害には適用されません)。

寄付金控除は、国や地方公共団体など特定の団体に寄付をすると、所得控除を受けられる仕組みです。今人気のある「ふるさと納税」もこれにあたりますね。

医療費控除では、原則として治療や診療のための通院や薬の購入が10万円を超えた分が控除の対象になります。同じ通院でも、美容目的や人間ドックを受診するだけの通院では対象になりません。人間ドックを受診し、重大な疾病が発見されて治療した場合は、その人間ドック費用も控除の対象になります。

これらに該当する人は、自分で翌年の3月までに確定申告する必要があります。

■もし書類の提出が遅れたら…

最後に、年末調整の書類を出し忘れた場合について、見てみましょう。

源泉徴収票が配布される翌年1月末日まで(2017年の場合は、2018年1月末日まで)、年末調整のやり直しができます。

ただ、源泉所得税の過不足金の再計算だけではなく、法定調書の合計表や給与支払報告書の作成・報告……といった事務処理もやり直すことになります。経理担当の人のためにも、定められた期限内に提出しましょう。

さらに、翌年1月末日にも間に合わなかった場合は、自分で確定申告するしかありません。確定申告の期限は翌年3月15日となっています。

――― まとめ ―――
・給料から天引きされている所得税は仮のもの。年末調整で本来の税額を計算する
・iDeCoに加入している人、生命保険・地震保険に加入している人は「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」に記入して提出する
・保険会社や国民年金基金連合会から送られてくる「控除証明書」も一緒に提出する。なくさないように
・年末調整では控除できないものもある。該当する人は、翌年の2月16日~3月15日の間に自分で確定申告を
井戸美枝
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金部会委員。確定拠出年金の運用に関する専門委員会委員。経済エッセイストとして活動。近著に「ズボラな人のための確定拠出年金入門」(プレジデント社)「定年男子定年女子」(日経BP社)「45歳からのお金を作るコツ」(ビジネス社)など。

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