いつでもアクションカム 広角レンズで非日常のゆがみ
アクティブなスポーツでインパクトのある動画が撮影できる小型ビデオカメラ「アクションカム」。近ごろは「インスタ映え」する写真を撮るために米国製の機種を購入して日常的に使う「ゴープロ女子」まで出現している。スマホでは難しい独特な写真が撮れることで注目が高まっている。
◇ ◇ ◇
米ゴープロの「HERO」シリーズに代表されるアクションカムの人気が高まっている。アクションカムといえば、マリンスポーツやウインタースポーツ、マウンテンバイクなどスポーツ撮影に適したカメラだ。だが、近ごろは旅行や生活の場面のスナップ写真を撮りたいと考える人が購入するケースが増えている。
小型で軽量 持ち歩き楽々
アクションカムが注目されているのは、一般的なスマホやデジカメでは難しい撮影が手軽にできるから。まず特筆すべきなのがレンズ。売れ筋の「HERO6ブラック」は、ワイドに写せる超広角タイプのレンズを装備している。カメラを手で持って自撮りする際、スマホのインカメラを使うよりも多数の人を写せるうえ、背景も広い範囲を写し取れる。つまりわざわざ自撮り棒を使って距離を稼ぐ必要がなくなるのだ。
さらに、超広角レンズ特有のゆがんだ描写も「非日常的な雰囲気になる」「魚眼みたいで面白い」と評価されている。インスタグラムでは、HEROシリーズを指名買いしてインスタ映えする写真を日々撮影し、検索で利用するハッシュタグに「#ゴープロのある生活」と加えて投稿する「ゴープロ女子」が急増しているほどだ。
アクションカムは、本体が小型軽量で扱いやすいうえ、ある程度ラフに扱える点も評価されている。HERO6ブラックは、一般的なコンパクトデジカメの半分以下のサイズでかさばらず、女性のポシェットにもらくらく収納できる。
これだけ小型ながら本体は防水設計となっており、最大で水深10メートルまでの水中撮影が可能だ。耐衝撃構造でもあるので、多少ラフに扱っても問題ない。背面にはタッチパネル式の液晶パネルを搭載しており、撮った写真をすぐに確認できるのも便利だ。
HERO6ブラックの店頭実勢価格は5万9000円前後と、一般的なコンパクトデジカメと比べればかなり高価だ。だが、水中撮影できる点やタッチ式の背面液晶を標準で搭載している点など、競合製品と比べると優れる部分が多い。価格なりの満足度は得られる。
4メートル落下も耐えられる
競合メーカーも、HEROシリーズにはない特徴を持つ製品を投入している。カシオ計算機が10月下旬に発売した「G'z eye GZE-1」(店頭実勢価格は5万円前後)は、人気の腕時計「G-SHOCK」に似たデザインを採用したアクションカム。耐衝撃性能に優れているのが特徴で、4メートルの高さから落下させても破損を防げる。別売のアクセサリーを装着すると角度を付けた状態で固定できるので、カメラを手に持たなくてもベストな自撮りができる。デザインの魅力を高め、若年層を狙う。
注目したいのが、ゴープロが発表した新シリーズのアクションカム「Fusion」だ。前後に2つのカメラを搭載し、周囲360度の範囲を1回のシャッターで撮影できる。撮影した全天球写真や全天球動画から好みの部分だけを切り出す機能を備えており、撮影時に構図を決める必要がないのが斬新だ。国内での発売日や価格は未定だが、撮影の概念を変えるアクションカムとして話題になりそうだ。
(日経トレンディネット 磯修)
[日本経済新聞夕刊2017年11月11日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界