2017/11/19

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債券には企業が発行する社債もある。国債よりも安全度は低いが、利率は高い。近年は企業が資金の調達先を多様化しており、個人投資家向けの社債発行にも積極的だ。10月末時点の発行残高は約7.3兆円と過去最高水準に近い。

9月には三菱UFJフィナンシャル・グループが個人向け社債を3200億円発行した。今月8日には北陸電力が北陸地域に住む個人を対象に、利率0.14%、総額100億円の社債発行を発表した。

発行済みの社債を買うこともできる。野村証券では8日時点で、19年9月に満期を迎えるソフトバンクグループの社債の在庫があった。14年に発行された5年債で表面利率は1.26%。ただ債券価格の上昇が影響し、19年9月の償還日まで持ち切った場合の実際の利回りは0.39%になる。

為替リスクに耐えられる人なら、海外政府などが発行する外国債も投資対象になりそうだ。

債券で運用されている投資信託を購入する手もある。株式などに比べて期待できるリターンの幅は小さいが、安定しているのが特徴だ。

資産規模の大きい主力商品の値動きはどうなっているのか。06年末時点の価格を100として指数化し、今年10月末までの10年超の騰落率を検証してみた。

累積リターンが好調なのが日本の国債や社債で運用する投信だ。分配金込みの基準価格の上昇率をみると「ダイワ日本国債ファンド(毎月分配型)」が22%、「DLIBJ公社債オープン(中期コース)」が25%だった。金利の低下が債券価格を押し上げたほか、金利による利息収入の分だけリターンが積み重なった。

外債は為替リスク

一方、金利と債券には「金利が上がると債券価格は下落し、金利が下がると債券価格は上がる」という関係がある。現在の日本は歴史的な低金利下にあるが、将来は金利が上昇に向かう公算が大きい。これが国内債券で運用する投信価格の下げ圧力になることには注意したい。

外国債で運用する「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」は状況がやや異なる。国内債券よりも利率は高いが、為替の変動リスクがあるためだ。円高が進むと為替差損が発生しやすく、07年以降の円高局面ではマイナス圏に沈んだ。円安に転じた12年末以降は持ち直し、累積リターンは21%となった。

株式に投資した場合と比べたリターンはどうか。指標となる日経平均株価は、景気が落ち込んでいた08年から11年はほぼ半値の水準に沈んだ。ただ12年以降は急速に上昇し、足元の累積リターンは28%と債券型投信を上回った。

ただ注目すべきは、株価の下落局面では債券が堅調な傾向があり、分散投資の効果が期待できることだ。株式は値動きのブレも大きいため、安定性の高い債券は有力な補完役だ。半面、債券型の投信は国債とは異なり、元本は保証されない。保有コストもかかるなどの短所には目配りしたい。

株価は二十数年ぶりの高値圏にあるが、いずれは下落局面が訪れる。その際に安全資産としての役割が期待できるのが債券。今のうちから吟味しておくのもよいだろう。

(荻野卓也)

[日本経済新聞朝刊2017年11月11日付]