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食の豆知識

酢をジャバジャバ使い、それを誇示する「スズキ」さん

2017/11/15

 前回「目玉焼き」についての記事が公開されたあとも、多くの方から「自分はこう食べる」とのリプライをいただいた。とはいえもう目新しい食べ方は出ないだろうと油断していたところへ、とんでもない豪速球が飛んできた。(前回「目玉焼きには何をかけますか 千差万別、譲れぬ作法」参照)

「うちのおじいちゃんは酢をジャバジャバかけます」

 そうだ、忘れていた。酢の存在を。

 世の中にある調味料はすべて挙げられたんじゃないかというくらい、さまざまなものをかけて食べられていた目玉焼きだが、なぜか酢はなかった。ポン酢ですらなかった。かろうじてゴマドレッシングがあった程度だ。

鹿児島・霧島の「壺畑」 黒酢をつくる

 だが酢は決してマイナーな調味料ではない。酢を置いていないスーパーなど考えられないし、コンビニにもある。自炊する人なら一度は買ったことがあるだろうし、外食派ならなおさら酢を使った料理はイヤでも食べている。酢は超メジャーな調味料なのだ。

 酢は塩とともに「最古の調味料」などと呼ばれる。

 原料をアルコール発酵させたものから作られるため、世界中酒のあるところには必ず同じ原料の酢が存在する。日本酒の国には米酢が、ウイスキーの国には麦芽から作られたモルトビネガーが、ワインの国にはワインビネガーがある。そもそもビネガー(vinegar)の「vin」はワインのこと。グリム童話などにはよく、残念な飲み物の意味として「酸っぱくなったワイン」が出てくるが、保存方法の悪かった時代はうっかり酢にしてしまう事故も多かったのだろう。

さらしくじらには酢味噌=PIXTA

 酢の使い道は実に広い。たとえば日本料理の合わせ酢だけで、どれだけ種類があることか。しょうゆと酢を合わせた二杯酢、それに甘みを加えた三杯酢。三杯酢をさらにかつおだしで割れば土佐酢になる。ゴマを加えたゴマ酢や、ワサビを溶いたワサビ酢、卵黄とともに練り上げた黄身酢などはあまり馴染みがないかもしれないが、味噌と合わせた酢味噌は家でも食べる機会があるだろう。

 和食のコースの中で酢を使った料理は、焼き物や揚げ物などのあとに出されることが多い。脂っけを酢でさっぱりさせてから次の料理へつなぐという、献立の流れの句読点といったところだ。

 しかし酢は、単に酸っぱい味を得るための調味料ではない。素材の下処理や、味つけの過程で的確に使うことにより、縁の下の力持ちのごとく調理をアシストしてくれる大事な役目がある。

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