痛風予備群1000万人以上!? ビールより酒量に注意

日経Gooday

痛風発作は、足の親指の付け根など、膝より下で起こることが多い(c)thamkc -123rf

さらに細谷さんは、罹患する世代の低年齢化傾向も見られるという。「以前はミドル世代の病気と見られていましたが、最近では30代など低年齢世代でも罹患するケースが増えています」(細谷さん)

そして女性の左党にとって恐ろしいのは、女性の痛風も増えていること。細谷さんによると、女性ホルモンの働きなどにより女性はそもそも痛風・高尿酸血症にはかかりにくいのだという。しかし、「かつて痛風にかかるのは99%が男性といわれていましたが、現在は女性の患者さんも増えてきています」と細谷さん。

昔は痛風と言えば「おじさんの病気だもーん」とふふんと鼻で笑っていたけれど、どうやら人ごとではなさそうだ……。

食べ物から取り込まれるプリン体は2~3割

次に、いよいよ本題。細谷さんに痛風にかかりやすい食事や飲み方を聞いてみた。やっぱりビールはよくないのだろうか。

先生、痛風は、ビールやイクラといった、プリン体の多いものを好む方がかかりやすいと思っていたのですが……。

「尿酸はプリン体から作られますから、プリン体の摂取が尿酸値に影響するのは確かです。しかし、意外と知られていないのですが、プリン体の7~8割は体内で作られています。食べ物から取り込まれるプリン体は2~3割なんですよ。食品から取り込まれるプリン体が尿酸値に与える影響はそれほどではないことが分かってきました」(細谷さん)

何と! 恥ずかしながら、私はこのことを今日まで知らなかった。「尿酸値が高い人はプリン体の含有量が多い食品を控えなさい」とよく耳にすることもあってか、食べ物にさえ気をつけていれば尿酸値は上がらないものと思い込んでいた。

※一般に「魚卵はプリン体が多い」と思われているが、必ずしもそうではない。100g中のプリン体含有量はイクラ3.7mg、カズノコ21.9mg程度で、プリン体含有量が少ない食品に分類される。やや高めのものでも、タラコ120.7mg程度で、300mgを超える鶏レバーやマイワシの干物などより少ない。また、タラコなどは一度に食べる量が少ないことが多い。

尿酸は新陳代謝の過程で自然に生成されるもの

そもそもこの「プリン体」と「尿酸」の関係性は? また体内でどう生成されるのだろうか? そのメカニズムを細谷さんに聞いた。

「プリン体は尿酸のもととなる物質です。プリン体は、核酸(DNA、RNA)を構成する物質の1つで、細胞の中に必ず含まれています。体内で作られるものと食品から取り込まれるものがありますが、その7~8割は体内で作られるのです。そして、尿酸は体内のプリン体が分解されるときに生じる老廃物です」(細谷さん)

「プリン体が体内で尿酸に分解される経路は2つあって、1つは細胞の新陳代謝の際です。新陳代謝により、細胞が壊れると、細胞内の核酸は細胞の外に放出され、これが最終的に尿酸に分解されます」(細谷さん)

「また、プリン体はカラダを動かす際に使われるATP(アデノシン3リン酸)という物質にも含まれています。ATPはエネルギー源として利用され、生命活動の維持に欠かせない重要な物質です。このATPは活動に利用されるとADP(アデノシン2リン酸)に代謝されますが、安静にしていれば再び元のATPに戻ります(再合成)。しかし激しい運動などでエネルギー源であるATPが大量に利用されると、再合成が追いつかず、プリン体、そして尿酸へと分解されてしまうのです」(細谷さん)

「そして、プリン体を尿酸へと分解する役割を担うのが肝臓です。分解された尿酸の多くが腎臓に運ばれ、尿や便として体外へと排出されます」(細谷さん)

プリン体や尿酸は悪者だとばかり思っていたが、カラダの生命維持のサイクルの中で自然に生成されるものだったとは。しかもその7~8割が体内で合成されているというのは驚きである。

ビールを避けたほうがいいのは間違いではないが……

だが体内で多くが自動的に合成され、食品摂取からの比率が少ないというのであれば、素人考えの左党としては、プリン体を含む食品は気にせず食べてもいいのでは? と思ってしまう。

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