2017/11/13

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お勧めできる年金制度としては、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と「小規模企業共済」があります。いずれも加入は任意で、自分で決めた掛け金を毎月払って将来まとまった金額を受け取ります。

iDeCoは昨年末までは対象が自営業者などに限られていましたが、制度改正によって今年1月からすべての現役世代に広がり、加入者が急拡大しています。最大の利点は税制優遇を60歳まで受けられことです。

金融商品を購入する資金が所得控除の対象になり、運用益も非課税となります。自営業者は年81.6万円まで積み立てが可能で、節税策としてこれを利用しない手はありません。iDeCoといえば投資というイメージがありますが、自営業者が年81.6万円積み立て、仮に20%ほどの税負担軽減効果があれば、iDeCoでは全額定期預金でも十分に元が取れます。

60歳まで解約できないというのも、自営業者の老後資金準備としてはプラスです。解約の誘惑を断つことができるからです。

小規模企業共済も自営業者にとっては便利な制度です。一見、小規模企業の関係者しか入れないようですが、個人事業主も対象となっており、こちらは年84万円まで拠出が可能です。これも全額が所得控除の対象となります。小規模企業共済のホームページの試算では、課税所得400万円の場合、年84万円の拠出で24万1300円の節税になるとしています。28%以上の節税効果です。

小規模企業共済とiDeCoは同時加入できますので、最大で年間165.6万円まで課税所得を減らし、老後の資産にすることができるわけです。自営業者の場合はいずれも確定申告が必要ですが、還付金の多さに思わずにんまりするかもしれません。

自営業者は一生稼げるとは限らない

ときどき自営業者は一生働けるのだから、年金額が少なくてもなんとかなる、という説明を聞きます。しかしこれは誤解です。

最近、『マンガ 自営業の老後』というコミックエッセーが話題になっていますが、必ずしも高齢になっても同じ収入を維持できるわけではない(むしろ下がるかもしれない)という切実なテーマから話が始まります。そこで出てくるのは「若くて稼げるうちに自宅不動産の取得や老後資産の形成をスタートしておく」ということです。

年功序列の色彩が残る日本の会社では社員は、40~50歳代にかけて給与が増えたとき、老後の貯金も一気に行うことが可能です。自営業者はそうはいきません。まず「自覚して老後に備える」ことが重要で、「稼げるうちにどんどんためる」ことが欠かせません。

若い頃には仕事も多く羽振りがよかったものの、中高齢になると仕事が減ってしまうことはよくあることです。老後は経済的に苦しみ、しかも年金に窮する、というのは自営業者の最悪のシナリオでしょう。

「稼げるときにためておく」という発想で、自営業者は老後破産の不安を打破したいものです。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp