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若きシェフの熱い闘い 「新時代担う料理人」に赤井氏

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NIKKEI STYLE

新時代の若き才能を発掘する料理人コンペティション「RED U-35 2017」は6日、都内で最終審査を行い、広島県にある「アーククラブ迎賓館」の料理人、赤井顕治さんをグランプリに当たる「RED EGG(レッドエッグ)」に選出した。

「RED U-35」(主催:RED U-35実行委員会、共催:ぐるなび)は、2013年にスタートした「夢と野望を抱く、新しい世代の、新しい価値観の料理人を見いだし、世の中に後押ししていく」大会。これまでに4人の「RED EGG」を輩出し、若きスターシェフとしての活躍をサポートしてきた。

出場資格は「偉大な料理人」になることを目指す35歳未満の料理人。4次にわたる審査を経て、調理経験10年、34歳の料理人が、応募者448名の頂点に立ち、賞金500万円を手にした。

5人に絞られて臨んだ最終審査、出場者ののテーマは「塩」。天草塩の会の松本明生さんの塩を使って「レストランのシェフとしてスペシャリテ(看板料理)を作る」ことが課せられた。

松本さんは「『天草の塩づくりの祖』と呼ばれ、日本の自然塩復活に甚大な貢献をした日本食塩研究会の出身で、専売制度の下で製塩の研究を続けられ、多くの製塩所がある天草の中でも最も歴史が古く、松本さんから塩づくりを学んだのちに独立したという人も多い」(ソルトコーディネーター青山志穂さん)という伝説の塩職人だ。

出場者が、松本さんと初めて顔を合わせたのは、前日の第3次審査が終わった後。ただ「食材の生産者」としか紹介されず、名前も何を生産しているかも分からない。ここで松本さんへの質問が始まり、手掛ける塩に関わる情報を本人から、引き出す。

この面談をもとにメニューを考案。翌朝、築地市場で規定の予算内で自ら食材を仕入れ、昼前から順次調理を始める。できあがったら松本さんへ、自らの調理コンセプトをプレゼンテーションし、審査員はこれに耳を傾けながら試食するという審査だ。

最終審査会場となった都内のキッチンは、張り詰めた緊張感に包まれた。

最初にキッチンに立ったのは、音羽創さん。調理経験15年、34歳の東京にあるフランス料理店「シエル エ ソル」の料理長だ。料理名は「天草の海・その背景」。

松本さんの塩田の緑広がる丘陵を青菜のフランに見立て「天草のアサリとのりのコンソメで美しい水面を描き出し、そこに地元産の季節の魚介を浮かべ、天草の塩、そしてその背景を表現した」という。

2番手は唯一の和食にして最年少19歳の崎楓真さん。調理経験5年、「京都吉兆嵐山本店」の料理人だ。料理名は「恩恵」。

和食らしく季節の魚を塩煮の技法で調理した。塩の料理が続く中で「塩分対策としてカリウムを多く含む食材をあしらいとして添えた」という心遣いが、19歳とは思えないプロ意識を感じさせた。

3番手は、薬師神陸さん。調理経験10年、29歳の東京にあるフランス料理店「SUGALABO inc」のシェフ(料理長)だ。料理名は「てしおにかけて」。

「料理人が塩を作ったらどういう風になるのだろう」と食材のエビの頭を香ばしくいためて、塩水を加え、水分を飛ばして新たに塩にして料理に添えた。さっと揚げた半生のエビをわらでいぶし、あんをかけて照りを出した。あんでエビ塩を溶きながら食べるのだという。

4番手は山口智也さん、調理経験8年、東京にあるイタリア料理店「IL TEATRINO DA SALONE」のシェフ(料理長)だ。料理名は「天草の塩パン」。

他の4人が必至で調理に取り組む中で、山口さんの選んだメニューはパン。持ち時間の大半を生地の発酵に割いた。面談の際に松本さんが語った「特別なことは何もしていない。ただ昔の作り方のままで塩を炊いている」という塩づくりへの思いに触発されたという。小さな子どもからお年寄りまで、幅広く食べてほしいという思いも込めた。

サービススタッフに、ジャケットを脱いでネクタイを外し、腕まくりをして料理を運んでほしいと、カジュアルな雰囲気作りを指示していたのが印象的だった。

最終、5人目の料理人として登場した赤井さんが作ったのは、題して「私たち~生きるということ」。赤井さん本人の書いた料理コンセプトは以下の通りだ。

「松本さんにとって塩づくりは『生活の一部』すなわち『生きること』だと感じました。こだわりやとても強い思いがあるけれど飾らない。ムダのない、簡素な生き方がそこにあります。ここまでコントロール不能になった私たち人間が見つめ直すべき『生きると言うこと』と『食べるということ』。簡素さの中にある美しさや大切さを料理で表現します」。

できあがったのは、塩だけで焼いたかも肉と生ガキのシンプルな一皿。松本家の食卓をイメージしながら調理したという。

持ち時間いっぱいで調理を終え、疲労困憊(こんぱい)の出場者を待っているのは、松本さんへのプレゼンテーション。料理に込めた熱い思いを訴える。制限時間からパンの発酵にイースト菌を使った山口さんに対し「天然酵母の方がおいしいとは思わなかったのか」など厳しい質問も飛び、料理人たちの緊張感も頂点に達する。

そして都内のホールに場所を移して行われた結果発表のセレモニー。栄冠は赤井さんに、準グランプリは音羽さんに輝いた。また、女性料理人に贈られる岸朝子賞は、3次審査まで進んだパリのフランス料理店「Restaurant Sola」の副料理長、藤木千夏さんに贈られた。

結果発表後の講評では、審査員の多くが赤井さんの人柄をたたえた。

25人から5人に絞られる3次審査中、出場者たちに記入を求められたアンケート用紙に「25人をよろしくと書いてあった。それが決め手」(黒木純「くろぎ」主人)。

最終審査の際、5皿目の料理の試食に臨む審査員たちにサービススタッフを通じて「『量減らした方がいい人いますか?』と聞いてきた。料理人は食べていただく方のために料理を作るのが大事」(田崎真也 ソムリエ)。

「グランプリを獲れる人は料理(の腕)だけじゃない」(脇屋友詞「Wakiya一笑美茶樓」オーナーシェフ=審査委員長)。

講評はもちろん、セレモニーの中で5人が作った料理の優劣を比較するような発言はいっさいなかった。赤井さんの受賞スピーチも「自分自身との闘いだった。同世代の仲間と競い合えたこと、普段接することのできないプロに料理を見てもらえたことが最大の収穫」というものだった。

「RED U-35」が単なる料理コンテストではなく、新時代の料理界を背負って立つ「人材」を選ぶコンペティションであること、そして赤井さんがそれに値する料理人であると評価されたことを改めて実感した。

「料理人は本当にすばらしい職業。天草の塩で作った料理が、天草そのものになっていた。どんな観光ガイドよりも、どんな旅番組よりも、作った料理が天草の魅力を映していた」。

最後を締めくくった「RED U-35」の総合プロデューサーで放送作家の小山薫堂さんの言葉が「新時代担う料理人」のあるべき姿を物語っていた。

(渡辺智哉)

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