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お気に入りスニーカーを再生 福島発!革靴職人の挑戦

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NIKKEI STYLE

履き潰したお気に入りのスニーカーが復活――。福島県在住の靴職人、木田浩史さん(43)が革靴の修理手法を応用して、スニーカーを再生するサービス「+SOLE(アディショナル ソール)」に取り組んでいる。単にソール(靴底)を張り替えるだけでなく、独自開発したソールなどを用意。スタートしたばかりのプロジェクトだが、「自分だけの一足」に仕上げられるとあって、スニーカー愛好家から注文が相次いでいる。




木田さんは自らの革靴ブランド「Hiroshi Kida」を立ち上げて14年目という靴職人。交流サイト(SNS)で、リーボックが人気モデル「インスタポンプフューリー」のソールをイタリアの靴底メーカー、ビブラム社の「ビブラムソール」に張り替えたスニーカーを見かけたのが新規プロジェクトのきっかけとなった。

「面白いアイデアだけど、ちょっとフェースが上と下でアンバランスだな」と思ったという。そこで靴の修理技術を活用、自分が履いているアディダスの人気モデル「スタンスミス」で試してみると、きれいにソールがはがれた。さらに靴のつくり方と全く同じ手法でビブラムソールを取りつけることができた。

見た目に加え、軽量肉厚のソールに替えたことで「クッション性がよくなり、履きやすくなった」という。

当初は仕事にする考えはなかったものの、周囲で評判を呼んだことから、事業化へと進む。背景には革靴市場の低迷があった。「ここ数年、スニーカーブームで革靴が売れない。オリジナルブランドのほかにOEM(相手先ブランドによる生産)も手がけているが、OEMは相手先に依存しているので、何かほかに無いかと考えていた」という。

スニーカーを仕入れて、ソールを張り替えて販売――というビジネスモデルを考えたが、よくよく調べてみると、そのままでは商標権などの問題が生じることが判明。知恵を絞り「修理」という手法を思いついた。利幅は小さいものの、在庫不要でリスクが少ないという利点もあった。

サイトを6月に立ち上げ、受け付けを始めたところ、半年を経ずに90足あまりの注文が集まった。現在は受注から納品まで、1~2カ月待ちの人気ぶりだという。

ソールは3タイプ。革とEVA樹脂、ゴムでできた「オリジナルソール」「ビブラムソール」、天然ゴムを主原料とした「クレープソール」から選べる。ソール交換は1万7000円から。さらにスニーカー本体の染め変えも6000円からで注文できる。

オリジナルソールを開発したのは、張り替えだけなら靴職人であれば誰でもできるから。「せっかく14年も自分のブランドをやってきているのに『修理だけ』というのがちょっと嫌だなあと思った」という。毎シーズン、新しいデザインのソールを投入することで、「顧客を飽きさせない」という狙いもある。

ほかのソールは踵(かかと)がすり減ると全体を交換しなければならないが、オリジナルソールは踵のゴム部分だけを交換できる構造とした。踵を交換して長く履ける「革靴の発想」によるものだ。「最初は高額かもしれないが、リペア時の値段はぐっと下がる」という。

木田さんがアトリエを構えるのは故郷の福島県いわき市。2011年の東日本大震災で、地震や津波の被害に遭い、さらに東京電力福島第1原子力発電所事故が起こった。「何人かの友人に『これを機会に東京に来たら』と言われた」というが、「さすがにこのタイミングでは……」と故郷を後にすることはできなかった。

被災地に残ることを決めたとはいえ、納期にあわせて靴をつくり続ける毎日。「友人たちが建設や小売りなど、仕事を通じて復興に貢献しているのに、なぜ自分はどこの誰とも知れぬ人のための靴をつくっているのだろう」と罪悪感を抱くようになった。

そんなときに福島県富岡町出身のミュージシャン、渡辺俊美さんと知り合い、復興のための音楽イベントに関わるようになる。今でも年に数回、イベントを開く力の入れようだ。

震災を契機に靴づくりに対する考え方が変わった。以前はマーケティングの結果に従って靴をつくっていたが、震災以降は「やり残すことだけはやめよう」と心に決め、「マーケティング無視で好き勝手にやっている」。

+SOLEを始めて気づいたのは「案外、スニーカーって面白い」ということ。顧客の注文に応じるうちに、意外な素材の組み合わせが、スニーカーに思わぬ表情を生むことがある。そんな「発見」が面白いのだという。

今後は、ソールの独自開発に加えて、オリジナルの靴紐(ひも)など、周辺アイテムを少しずつ拡充していく予定だ。さらに、セレクトショップや百貨店などに実物を置いてもらい、顧客に手にとって見てもらえる環境を整えたい考え。

「同じようなスニーカーの修理をやっている方はたぶんいるんじゃないですか。ただ、自分と同じようなところに焦点を当てている人はいないかもしれません。ブランドというにはおこがましいですが、プロジェクトと捉えているので、やりかたが違うでしょうね。ファッションに寄せていきたいです」。木田さんはこう語る。

(平片均也)

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