新卒採用、実は「2極化」 今なお就活中の学生も

――2017年春に大学を卒業し、就職した人は約43万人で、過去最高でした。今年も多くの企業が新卒採用に前向きで、2018年春に就職する人の数も高水準になりそうです。今後の見通しは。

櫨浩一・ニッセイ基礎研究所専務理事

「18歳人口が減少に向かう2018年問題や若年層の人口減少を視野に入れると、現在の水準がピークでしょう。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、18歳人口は現在の約120万人から、2030年に約100万人、2040年には約80万人に減る見通しです。高校生の大学進学率や大卒の就職率が現在の水準のままなら、人口減に比例して減っていきます」

「ただし、政府が検討している高等教育の無償化が実現すると情勢が変わる可能性があります。大学への進学率は約50%に達し、これ以上高めるのは無理だとの声が教育の関係者から聞こえてきますが、仮に無償化が実現すると進学率がさらに高まり、人口減を補う効果が出るかもしれません」

――進学率をさらに上昇させ、大学生の人数を維持すべきでしょうか。

「多くの企業は新卒採用に意欲的ですが、企業が期待する能力を備えている学生は限られているとの不満もあるようです。将来の幹部候補として採用する学生の数はここ数年でそれほど増えていないとの見方もあります。正社員ではあっても、職種や勤務地を限定する代わりに昇給や昇格を抑制する社員を増やす企業が増えています」

――学生の側には待遇について不満の声があります。

「経営の中枢を担う人材はもともとそれほどの人数はいりませんが、販売や接客、営業などの部門は人手不足です。そこを正社員の採用で補っているのです。転勤や職種の転換に制限がない社員になるよりは、限定社員の方がよいと考える学生もいますので、全体のバランスの問題ではないでしょうか」

――日本の労働市場はどんな構造になるのが望ましいですか。

「労働力人口が減ると日本全体の供給力が落ちます。総需要は変わらないので、供給不足になってインフレが進行します。これを防ぐには、女性や高齢者らを活用して労働力人口を増やすか、1人当たりの労働生産性を高めるしかありません。大卒で働く人は生産性が高い、企業にとって貴重な戦力のはずです。企業と学生の双方に不満があるとすれば、大学での教育の方法を改善するしかありません。日本の大学では米国などに比べると、学生に手厚い指導ができているとはいえません。生産性が高い人材を養成する大学教育が欠かせません」

(編集委員 前田裕之)

転職こそ日経。次のキャリアに挑むなら「日経キャリアNET」

■大手・上場企業
■外資系企業
…など優良企業を多数掲載中

>> 詳しくはこちら

「日経キャリアNET」はビジネスに強い日経が作った総合転職サイトです。

日経キャリアNET

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら