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積立王子のヤング投資入門

投信はヤングの便利グッズ リバランスの苦労も無用 積立王子のヤング投資入門(8)

2017/11/9

10月後半は高松、福岡、小倉、沖縄などを歴訪して長期コツコツ投資を訴えた

 前回の「世界の情報格差は消失 投資も自国中心主義ではダメ」では、地球経済(世界経済全体)の長期的な成長軌道にしっかりとお金を乗せ、その成長を養分として資産を育てていく「国際分散投資」の合理性をお伝えしました。今回はその際に強い味方となる「投資信託」とはどんな性格の金融商品なのか、それと2018年から始まる「つみたてNISA」(積み立て型の少額投資非課税制度)にはどんな関係があるかを考えてみましょう。

■重要だが個人には困難なリバランス

 地球経済の成長軌道を正しく捉えるには、世界全体に広く分散したポートフォリオを構築する必要があります。このポートフォリオを株や債券、預金などを組み合わせて作ることを「アセットアロケーション」といいます。ちょっとカッコいい響きの言葉ですが、つまるところは「資産配分」という意味です。この資産配分というのは、ヤング投資家の皆さんの想像以上に重要なものです。なぜかといえば、これをうまく行えるかどうかによって、長期的な運用成果は8割以上が決まってしまうことが証券投資理論において学術的に立証されているからです。長期投資においては個別に何を買うか以前に、全体の資産配分を適切に組み立てることの方がはるかに重要であるということです。

 前回も書いた通り、筆者は日本人にありがちなホームカントリーバイアス(自国資産への偏重)を排して、地球経済の実態に則した形で投資できるグローバルな資産配分を提唱しています。そうしたポートフォリオを投資開始時に自分でうまく構築できたとしても、実はそれから先も大切です。市場では日々、それぞれの資産がランダムに値動きしていくので、しばらくすると当初の資産配分比率が大きく崩れてくるためです。例えば当初、「米国株の割合は40%にしよう」と決めて投資しても、米ダウ工業株30種平均でいえば11日7日までの1年間に約29%上昇していますので、今の資産配分比率は51.6%と半分以上にまで拡大しているのです。

 こうした歪みを放置すれば適切な資産配分からどんどん乖離(かいり)が進んでしまうので、配分を再調整する作業が随時必要です。これを「リバランス」と呼びますが、実はこのリバランスを個人投資家が自分で行うのは相当大変です。価格が上がって割合が増えた資産を売却して減らし、下がった資産は買い増して割合を増やすという作業を繰り返し続けていかないと、適切なポートフォリオは維持できません。株や債券など複数の資産が、それぞれ別個に値動きするので配分修正には緻密な計算が求められますし、資産の売却と買い入れ、為替の交換にはそれぞれ手数料もかかってきます。

 そこで、投資信託の出番です。このように重要でありながら決して簡単ではないポートフォリオの構築や管理を、一つの商品の中ですべてやってくれるのが投信の利便性の最たる部分なのです。もちろんその管理料として信託報酬というコストはかかりますが、現役ヤング諸氏の毎日は仕事に趣味に、あるいは恋愛や子育てにと日々忙しく追われていると思いますので、一定のコストを払っても資産運用の面倒で苦痛な作業をプロに任せられる投信というのは、何よりの便利グッズではないかと思います。

■長期投資は列車の旅のイメージ

 それでは、投資信託とはそもそもどんな商品なのでしょうか。四角四面にいえば「投信法に定められた集団投資スキームの金融商品である」となりますが、これではさすがに何のことだか分からず、イメージも持てませんよね。そこで手前味噌ながら筆者が代表を務めるセゾン投信を例に説明してみましょう。当社はもっぱら長期投資を標榜しており、運用する投信を列車に例えています。いうならば当社運用部のポートフォリオマネジャーは長距離列車「セゾン号」の運転士で、世界経済の長期成長軌道が列車の線路に当たります。そして投資家は乗客として「セゾン号」にお金と共に乗車して、長期投資の旅に参加している……というイメージです。もちろん目的地は、自分自身の明るい将来ということですね。

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