しかし、結果的に入社することになったのは、年齢制限の40歳を超えて、かつ候補者の中で最も年齢が高かった47歳のAさん。営業管理職として経験豊富な方でした。

なぜ、Aさんを採用していただけたのか? 内定をいただいた段階で、もう一度管理部長にその理由を伺いました。Aさんよりも10歳近く若い有力な候補者が複数いたにもかかわらず、最終的にAさんが第一優先候補となった理由は「いくつかの要素の掛け算だった」ということでした。

成功ポイント(1) 圧倒的な活躍への期待感

管理部長 「Aさんの場合、他の方に比べてすぐに活躍いただけるイメージが非常に高かったですね」
 「なるほど。即戦力として評価が高かったということですね。管理部長から見て活躍への期待感が高まった理由はどんなところにあったのでしょうか?」
管理部長 「他の候補者の方と比べてみた時に、いくつか優位な点がありました」
●同じIT業界で、かつ企業規模も近いベンチャー企業に勤めてきた
●希望する報酬水準が、弊社が提示できる金額とマッチしている
●法人向け営業のプレーヤー兼管理職として向き合ってきた市場が、弊社がこれから攻めようとしている戦略ターゲットに非常に近い
●転職回数が2回と少なく、ベンチャー経営者の右腕として長く活躍してきた
●「会社がM&A(合併・買収)されて、これまでの経験が生かしづらくなった」という転職理由に合理性がある
管理部長 「加えて、細かい話ですが、入社できるタイミングもぴったり一致していたことなどが、Aさんが飛びぬけていた要素です」

企業規模や仕事の特性、本人の経験と募集ポジションの難易度が近いことなど、やはり等身大に近い求人は、即戦力として活躍の期待感を生み出しやすいということなのかもしれません。

成功ポイント(2) 謙虚さが表れる傾聴力

管理部長 「Aさんは年齢の割に、とても素直な方だったことも大きいと思います。謙虚さといったほうがいいかもしれません。ただ、謙虚といっても自信がないわけでも弱々しいわけでもなく、豊富な経験がありながら、過去の成功に縛られない素直さのようなものが受け答えの中ににじみ出ていました。私自身も一次面接、二次面接とお話して強く感じましたし、最終面接をした社長も上司となる執行役員も、その点にとても魅力を感じたようです」
 「面接で感じられた謙虚さは、どんなコミュニケ―ションによって生まれているのでしょうか? 他の方と比べて特徴のようなものはあるんでしょうか?」
管理部長 「うーん、そうですね。言葉で説明するのが難しいですが、会話のキャッチボールが自然で気持ちいいというか。あえて言うと、『質問する力』なのかもしれませんね。たとえば、弊社の事業や戦略を説明した後に、Aさんから出てくる質問が非常に的を射ていて、まさに次に説明しようと思うところを突いてくる、といったことですね。そのあたりのレベルが、他の方とはまったく違っていました」

社長や役員をはじめ、面接官を担当した全員が感じたコミュニケーションの心地よさを、管理部長は「質問力」という言葉で表現してくれました。私自身もAさんと何度も面談しているので、同じことを感じていましたし、だからこそ年齢制限を超えているにもかかわらず力強く推薦できたのですが、管理部長は百戦錬磨だけあって、さすがに端的に要所を捉えていました。

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成功ポイント(3) 目に見えない価値観をつかむ力
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