マラソン大会で東北を覚醒 おらが自慢、世界につなぐ「東北風土マラソン」仕掛け人・竹川隆司氏に聞くスポーツの力

走りながら地元、東北の食材を味わえるのが魅力だ(宮城県登米市、東北風土マラソン&フェスティバル提供)
走りながら地元、東北の食材を味わえるのが魅力だ(宮城県登米市、東北風土マラソン&フェスティバル提供)

東北のグルメを食べながら走る――。宮城県登米(とめ)市で2014年に始まったマラソン大会「東北風土マラソン&フェスティバル」は、レースよりも食を前面に出しているのが特徴だ。後発の大会でありながら人気は高く、18年3月の第5回は前回よりも1000人多い7000人の参加を見込む。代表理事の竹川隆司さん(40)は東日本大震災をきっかけに本拠の米国を引き払い、大会を切り盛りしてきた。スポーツが地域に及ぼす力や20年東京五輪・パラリンピックの展望について聞いた。(聞き手は編集委員 吉田誠一)

東北風土マラソン&フェスティバルの竹川隆司代表理事

――東北風土マラソン&フェスティバルにはモデルがあるのですか。

「フランスに、ワインを飲みながらフルマラソンを走る『メドックマラソン』という大会があります。これをモデルにして始めました。ランナーにスポーツドリンクなどを提供するエイドステーションでは、宮城県気仙沼市のサンマ、秋田県のいぶりがっこなど東北6県から集めた一口サイズの食べ物をとりそろえます。(それらを載せた)コースマップは(食事の)メニューのように見えると思います。本当は日本酒を飲みながら走れるようにしたかったのですが、警察から許可が出なかったので、かわりに日本酒の仕込み水を出しています」

「名前にフェスティバルとついていることからも分かるように、マラソンランナーでなくても楽しめるイベントを同じ会場で開きます。(登米市や東北地方のご当地グルメを食べたり買ったりできる)『登米フードフェスティバル』と(東北の日本酒を飲み比べできる)『東北日本酒フェスティバル』です。日本酒は東北の138銘柄がそろっています」

「大切なものを残して逃げる気持ちに」

――竹川さんが、この大会を始めるきっかけは何だったのですか。

「東日本大震災です。私は米国で仕事をしていたのですが、地震が起きた3月11日は東京にいました。3日後にはニューヨークに戻らなければならなかったのですが、飛行機の中で、大切なものを(日本に)残して逃げてしまうような気持ちになっていました。米国では周囲から『家族は大丈夫か』と聞かれます。東北出身ではないのですが、ふるさとである日本のために何かできることはないのかと思いました」

「どうすれば東北と世界をつなげられるだろうか。そう考えるなかで、マラソン大会ならば人を呼び込めると思いました。私も市民ランナーの端くれでしたから、メドックマラソンのことは知っていました。世界中から人を集めて、地域の魅力を発信している最たる例がメドックマラソンです。大会後にはシャトー(ワイン醸造元)をめぐるツアーもあり、これらがセットになって楽しい思い出になります。こうした技をメドックマラソンから学びました」

次のページ
地元への経済波及効果は3億円弱
今こそ始める学び特集