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株価調整に備え、広がる貴金属投資 現物の安心感も コインやETF、先物など選択肢も豊富

2017/11/11

 三菱UFJ信託銀行が東京証券取引所に上場するETF「金の果実」シリーズは金、プラチナ、銀、パラジウムの4種類がそろう。いずれも証券会社を経由して購入することができる。

 「金の果実」は9月末の純資産残高が540億円強と、1年前に比べ16%増えた。上場時と比べると27倍以上で、過去最高の水準にある(グラフB参照)。

 「プラチナの果実」は純資産残高が100億円近くで安定。3年前のほぼ5倍の水準だ。今年8、9月は売り圧力が強かったが、10月以降はプラチナの買いが広がっているという。

 金とプラチナは1キログラム単位で1回当たり5キログラムまで、地金と交換できる地金投資の性格もあわせ持つ。銀は10万口(1口は銀地金100グラム弱の現在価値)、パラジウムは3万口(1口はパラジウム地金10グラム弱の現在価値)からの大口のみ現物に引き換えられる。

 投資に応じた金やプラチナの現物は日本国内の金庫に保管される。現物に引き換えた顧客は2010年の上場以来、100人に満たない。三菱UFJ信託銀行は「いつでも交換できるという安心感が評価されている」(フロンティア戦略企画部の星治エグゼクティブアドバイザー)とみる。

 地金やコインの形で貴金属を購入する投資家も多い。貴金属最大手、田中貴金属工業は金、プラチナ、銀について、現物売買と毎月一定額を購入する積立サービスを提供している。積立口座数は9月末時点で06年4月末の約3倍になった。地金は貴金属商や一部証券会社でも購入できる。

 田中貴金属工業はオーストリア造幣局などが発行する金やプラチナのコインを取りそろえる。「株価下落だけでなく、すべてのリスクへのヘッジとして買われる」(加藤英一郎・貴金属リテール部長)という。

 現物投資は購入後に手元に置くか、売り手の貴金属商に保管してもらうかを選べることが多い。盗難や災害に遭うリスクを考えると、事業者に管理を任せることが安心だ。

■先物に制限なしも

 投資リスクの相対的な高さを指摘されている先物市場でも新たな商品が買い手を集めている。東商取が3月、既存の先物とは別に決済期限のない「白金限日取引(プラチナスポット)」を上場した。

 通常の先物取引は決済限月の最終日に取引を清算しなければならないが、新商品はこの制約がない。「待つべき時は待てる」(広島県在住の70代の投資家)ことが人気を呼び、売買高は半年で2倍に膨らんだ。

 金にも決済期限のない金限日取引(ゴールドスポット)がある。8月末からの金相場の急伸で、9月の金先物の取引高は前年同月比3割伸びた一方、ゴールドスポットは5割増。いずれも商品先物会社を通して売買できる。

 金は特に「安全資産」と言われるなど、貴金属投資自体に損をしにくいイメージがある。ただしパラジウムのように乱高下する商品もあり、損失リスクも当然ある。各商品の特徴を十分理解して投資することが重要だ。

(久門武史)

[日本経済新聞朝刊2017年11月4日付]

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