マネー研究所

定年楽園への扉

シニアの手習い どうせ始めるなら縁遠いことから 経済コラムニスト 大江英樹

2017/11/16

PIXTA

 私はいろいろな企業で50歳代の社員向けにライフプラン研修の講師をしています。リタイア後の仕事や生活について半日から2日ぐらいでお話をするわけですが、テーマの一つに「趣味」があります。

 定年後は再雇用制度などで働き続ける人が多いとは思います。それでも現役時代よりは時間に余裕ができるでしょう。リタイア後の生活を有意義なものにするためには趣味が大切です。

 受講者の中には必ず「自分は仕事人間だったから趣味は何もない」と誇らしげにいう人が一定数います。そんなことは別に自慢ではないと私は思うのですが、恐らく自分がいかに立派な仕事をしてきたかを無意識のうちにアピールしたいのでしょう。「趣味なんぞに関わっている暇はなかったんだ」というこだわりがにじみ出ています。

■仕事にリタイアはあっても趣味にはない

 ところが、趣味は自分の好きなことを何となくやっているというイメージがありますが、実はそれほど簡単なものではありません。9月21日付コラム「定年後の趣味は続かない? 生涯の楽しみは今から探す」でも書きましたが、何をやるにしても最初のうちは上手くいかないからです。つまり、趣味は決していい加減にやっていいというものではなく、それなりに一生懸命やらないと本当の楽しさには到達しないということです。

 仕事はリタイアしたとしても趣味にはリタイアはありません。体力と知力が維持できる限り、いろいろな趣味を楽しみ続けることができますから、私は大いに趣味は持つべきだと思います。

 では今、無趣味の人はどうすれば趣味を見つけることができるのでしょう。友達に誘われる、本を読んで興味を持つ、知人がやっているのを見て――など、きっかけはさまざまですが、始めるきっかけがないままにずっと来てしまったという人も少なくないと思います。

 そんな人に私がぜひお勧めしたい方法があります。それは「自分とは最も縁遠いと思われるもの」を選ぶことです。特にシニア層の人にこそ、この方法はお勧めです。なぜなのか? その理由をお話しします。

 会社で長く働いていると、自分が経験したことのないものでも見よう見まねでできることがあります。

 ところが、中には全く手も足もでないものもあります。例えば、私は59歳のときからジャズのアルトサックスを習い始めましたが、これがなかなか難しいのです。

 私はもともと証券マンでしたから仕事上、音楽との接点はほとんどありませんでした。聴くのは好きでしたが、楽譜などは全く読めません。本当に一からの勉強でした。

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL