2回目に会うと話が弾みません
脚本家、大石静さん
外国人も含めて、初対面の人とは臆せずフレンドリーに話すことができるのですが、2回目になるとうまく話題が見つけられず、話が弾みません。初対面のときとのギャップもあって、相手からは「意外に面白くない人、底の浅い人」と思われている感じがしてしまいます。50歳にもなって、自分の深みのなさに悩んでいます。(千葉県・50代・男性)
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初対面も2回目も、知り合って日が浅いことに変わりはないのに、初対面のときには絶対的な自信があり、2回目以降にいきなり自信がなくなる、というのは不可解ですね。
あなたは「評価されたい」という想いが、人一倍強いのかもしれません。
それゆえに1度目より2度目、2度目より3度目と評価が高まっているという手応えがないとつらいのでしょう。
しかしあなたは一体、何を評価されたいのでしょうか? 仕事ですか? 容姿を含めた雰囲気ですか?
何を評価されたいのかもわからないまま、ただ漠然と評価されたいと願っていても、人との関係は深まらないし、うまくいかないと思います。
誰でも他人の評価は気になるものですが、それよりも大切なことはあります。
それは、自分がどう生きたいかという、その人の人生哲学です。
他人にどう思われようとも、貫きたい"想い"です。
成したい仕事への想い、この先への夢やビジョン、家族への愛、恋人への想い、あるいは政治的社会的信条など、あなたの人生を支える信念です。
確固とした信念があれば、1度や2度会ったくらいの人の印象評価など、どうでもよくなるはずだと、私は思います。
50年も生きてきたあなたにその信念がないとは思えませんが、もし今、あなたが自分の心の中を探っても、それがまったく見当たらないとしたら、それは問題です。
何となく時を過ごし、大きな力に流されて息をしているだけでは、自信がなくなっても当然です。
人生80年時代、50代からでも遅くないので、この先の人生をどう生きたいか、自らの人生をプロデュースする気持ちで、考えてみてください。
すぐに見つからずとも、それを考え続けるだけで、他人の評価をよりどころにするような気分からは解放されると、私は思います。
信念はあるとお思いなら、人がどう思おうと、どこ吹く風でいいではないですか。
[NIKKEIプラス1 2017年11月4日付]
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