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がんの先進医療費 保険会社が医療機関に直接支払い 加入者の立て替え不要

2017/11/7

PIXTA

 先進医療特約付きのがん保険に加入しています。高額な先進医療を受けた場合、保険会社が医療機関に直接費用を払ってくれる制度があると聞きました。どのような仕組みでしょうか。

◇  ◇  ◇

 先進医療は厚生労働省が認めた高度な技術を使う治療法で、2017年10月1日時点で104種類が認定されている。健康保険が適用されないため医療費は全額自己負担。毎月の医療費の自己負担の上限を定めた高額療養費制度も適用されず、支払いが高額になるケースも多い。これに備えるのが医療保険やがん保険の「先進医療特約」だ。

■高額な重粒子線治療と陽子線治療

 特に高額なのが、がんの重粒子線治療と陽子線治療。がんをピンポイントで照射して小さくするので、手術などに比べて体への負担は少ないとされる。厚労省によると平均医療費は重粒子線で約309万円、陽子線は276万円に上る。

 先進医療の直接支払いサービスとは、高額の先進医療費を保険加入者が立て替えることなく、保険会社が直接、医療機関に支払うサービスのことを指す。

 このサービスが始まるまでは一時的とはいえ、約300万円を立て替える必要があったため、特約を付けていても金銭的な理由で先進医療を選択肢に入れられない人もいたという。

 08年ごろから三井住友海上あいおい生命保険や損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険などが先進医療費の立て替えに困った加入者へ個別に直接支払いを始めた。11年10月にはメットライフ生命保険が制度化。16年にアフラックも導入するなど広がりつつある。

 受療が決まったら保険会社に連絡し、医療費の支払いを保険会社が保証する書類の発行手続きをする。治療後には保険加入者を通さずに医療費の支払いが完結する(図)。

■利用が可能な機関、保険会社が指定

 対象となる先進医療はほとんどの保険会社が重粒子線と陽子線に限っている。保険会社が全国の専門医療機関と個別に交渉、契約しているため、保険会社ごとに制度を利用できる医療機関が異なる場合がある。

 先進医療特約付きの保険に入っている人はまず、自分の保険が直接支払いが可能かどうかを確認し、手続きの方法や利用可能な医療機関を把握したい。

 特約は月100円程度。保険会社や商品によっては現在の契約に付けられず、加入し直さなくてはいけない場合もある。ファイナンシャルプランナーの田中香津奈氏は「年齢が上がれば保険料も上がる。先進医療のためだけに入り直す価値があるかは保険料を比べて考えたい」と助言する。

 先進医療は健康保険の適用外ではあるが、確定申告をすれば医療費控除の適用が受けられることも覚えておこう。

[日本経済新聞朝刊2017年11月4日付]

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