今、本当の意味でインターナショナルなモーターショーは、中国(北京と上海で交互に開催)、欧州(フランクフルトとパリで交互に開催)、北米(デトロイトで開催)だといわれています。この中で中国のモーターショーに世界中のメーカーが全力を注いでいるのは間違いないですし、米国はゴーイング・マイ・ウエーを貫いている感がある。ただ9月に開催されたフランクフルト・モーターショーでは、「前回はこんなにゆったりした感じじゃなかったな」「へえ、ここのホールをつかっていないんだ」と、これまでになかった寂しさを感じました。

欧米で自動車の存在感が薄れ始めているというのは、取材を続けて感じています。若者のクルマ離れは日本だけの問題ではなく、米国もドイツも同じ悩みを抱えている。ドイツなどはカーシェアリングも進んでいます。自動車を所有するのはエコでも合理的でもないという考えが広まっている。

自分が行きたい場所に行きたいときに行ける。それが自動車の最大の魅力ですが、みんなが同じようにやるといろいろ問題が起こる。「ちょっと控えたほうがいいんじゃない?」「同じ方向へ行くなら相乗りでもいいんじゃない?」というのが今の風潮です。そういう状況では、モーターショーに対する熱意が以前と違ってくるのも当然でしょう。

──これから東京モーターショーはどうなっていくのでしょうか。

今回、印象に残ったのは海外、とくにアジアからの取材者の多さでした(事務局によると、プレスデー初日だった10月25日の海外取材者は1700人)。

アジアの中で、文化的な情報発信力に関しては「やっぱり日本だろう」という認識が、いまだに海外メーカーやメディアにはあります。「日本で流行している」というワードには、中国をはじめとしたアジアのマーケットで波及力があるのです。

注目されるもう一つの理由は、東京という都市の特殊性です。我々は東京というと人口1000万人の都市と考えますが、海外のメーカーは周辺の都市も含めた3000万人を超える世界最大のメガシティーとしてとらえています。これからは新興国が発展して行くにつれ、都市へ人口が集中していく。その先取りが東京だと見られているのです。世界に例がないメガシティーでのモータリゼーションがどうなるのか。こちらについても海外は興味津々です。今だって、これだけたくさんのハイブリッド車、つまりモーターを積んだ自動車が走っている都市は他にないのですから。

マーケットとしての規模は中国に抜かれてしまったけれど、IT系の人たちがよく使う「インフルエンサー」としての存在感はまだ大きなものがある。ここをどう伸ばしていくかが、次回以降の東京モーターショーのポイントになるのではないでしょうか。

渡辺敏史
福岡県出身。出版社で二・四輪誌編集に携わった後、フリーの自動車ライターに。主な著書に、05年~13年まで週刊文春に連載した内容をまとめた『カーなべ』(上下巻、カーグラフィック)。
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